紙か電子か
日本経済新聞:『紙の辞書離れ、出版業界悩む』
NIKKEI NETでは1月5日付の記事になっているが、ほぼ同じ記事を21日夕刊で読んだ。あれれ、昨日読んだのは古新聞(笑)?
リンク先はそのうち消えると思うので、日経記事の要旨をまとめておくと、電子辞書が急速に普及したおかげで、紙の辞書が売れないんだそうな。大学生の多くは電子辞書しか持たず、高校でも紙の辞書より電子辞書を推薦する学校が増えている、と。で、辞典出版業界では、「紙の辞書を使おう」キャンペーンを始めた、と。
紙の辞書が売れなくなってどうして出版業界が悩んでいるか。売れればどちらでもよさそうなものだが、電子辞書では益率が悪いらしい。21日付夕刊では、電子辞書での売上では新しい辞書をつくる費用が捻出できない→だから紙の辞書を買って、という関係者談話を掲載していたが、それってなにかヘンだよなあ。だったら電子辞書を高く売れば、って誰しも思うはずなんだが。
出版社は電子辞書を軽く見ていたんじゃないのかな。まさかここまで紙の辞書を圧迫するとは思っていなかったんだろうな。だから最初に売った版権料が安すぎたんだろうな。今ごろ慌ててもあとの祭り? まあギョーカイの内部事情はなにも知らないので、これ以上ツッコミませんが。
紙の辞書にも電子辞書にも、それぞれ長所/短所があると思う。紙の辞書ならではのメリットが強くアピールできれば売れるだろうし、できなければ売れない。単純に、それだけのことだ。
でも、どうなんだろうねえ。今の中学〜高校生なら、紙面より液晶画面の方が、インターフェイスとしてよりなじみ深いだろうしなあ。紙の辞書って重いし場所もとるしなあ。国語英和和英古語理科歴史などと各教科揃えていったら相当高くなるしなあ。しかも、使いこなすのにそれなりのコツと経験が必要だしなあ。
辞典協会の「高校入学時には、まず紙の辞書を!」キャンペーンは、一般書店では行ってないらしいのが残念。全国の高校へ配っているという「推薦ビラ」の中身が読んでみたいのだ。この春の新高校生相手に、はたしてどこまで〈紙の優位性〉を説くことができるか。お手並み拝見、といったところであります。…いぢわる?
…とかなんとか書きながら、私自身はまだ電子辞書をまともに使ったことがない。辞書って、調べた項目の前後左右の項を読むのが楽しいと思う。寄り道する楽しさってやつだ。ダイレクトに目的地に到達してしまう電子辞書には、その楽しみがあまりないような気がしているんだけど、どうなのかな。
2004 01 22 [booklearning] | permalink Tweet
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