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今月の積ん読。

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【写真上から】

●はじめての言語学
 黒田龍之助著/講談社現代新書1701/2004年1月刊
 ISBN4-06-149701-4  装幀/杉浦康平+佐藤篤司

 高島俊男さんが、連載コラム「お言葉ですが…」の中で(週刊文春3月4日号)ホメていたのでさっそく購入。なるほどたしかに平易な語り口ではありますが、結局なんだかはぐらかされたような気分にも。「ウラル・アルタイ語族なんてない」とか「地域差だけが方言ではない」など、俗信やふつうに流布している常識をコツン(ガツンではない^^;)と撃ってくれます。


●「おたく」の精神史 一九八〇年代論
 大塚英志著/講談社現代新書1703/2004年2月刊
 ISBN4-06-149703-0  装幀/杉浦康平+佐藤篤司

 どーでもいい話ですが、日本で年代論をするひとって必ずと言っていいほど「0年から9年まで」をひとくくりにするんですね。あれほど「21世紀は2001年から」って騒いだミレニアムってなんだったんでしょう。ともあれ、極めて個人的な要請のもとで描かれた歴史観が普遍性をもつかどうか、今後に要注目。おいしいフレーズ満載なので影響されちゃうひと続出かも?
 

●日本人の歴史意識—「世間」という視角から—
 阿部謹也著/岩波新書874/2004年1月刊
 ISBN4-00-430874-7  装丁者名記載無し

 名著『ハーメルンの笛吹き男』(平凡社1974年/ちくま文庫1988年)の阿部さんが、最近は日本に回帰しているとはうかつにも知りませんでした。巻末のプロフィールに、この本の源流になると思われる書名があったので、あわせて購入。それが次の
 

●「世間」とは何か
 阿部謹也著/講談社現代新書1262/1995年7月初版
 ISBN4-06-149262-4  装幀/杉浦康平+赤崎正一

 であります。阿部さんによると「世間」という概念はきわめて日本的なものなんだそうで、不祥事をおこした企業トップが口にする「世間をお騒がせして…」というフレーズは、欧米語では翻訳できないんだとか。
 そういえば、アイルランドには「世間」という感覚があるんだろうか、と、ふと思いました。
 

●ヨーロッパ思索紀行
 木村尚三郎著/NHKブックス989/2004年2月刊
 ISBN4-14-001989-1  装幀/倉田明典

 オビに大きく「アメリカの時代からユーラシアの世紀へ!」とあったので思わず手に取った。まだ本文を一ページも読んでいないうちから言うのはナニですが、目次を一瞥する限りでは、ユーラシアといってもヨーロッパ+イスラムという枠組みのようで、ちょっと「?」
 

●デジグラフィ デジタルは写真を殺すのか?
 飯沢耕太郎著/中央公論新社2004年1月刊
 ISBN4-12-003488-7  装丁/中村至男

 デジカメの普及によって写真表現はこれからどうなっていくのか? ということを書いた本…だろうな。なにしろまだ読んでいないもので(^^; ちなみに、上の写真もデジカメで撮影し、画像処理ソフトを使って補正・加工しています。あ、そういうレベルの話じゃなくって、飯沢さんだからやっぱ写真芸術論なんですよね、たぶん。
 

●反音楽史 さらば、ベートーヴェン
 石井宏著/新潮社/2004年2月刊
 ISBN4-10-390303-1  装幀/新潮社装幀室

 わたくし、オビに釣られる人です、ハイ。だって「ドイツ人がでっちあげた虚構をあばく!」ってデカデカと書いてあるんだもの。ほほー、あばいてもらいましょーか、って気になりますわな。ま、あばくもナニも、おおかたの言説は、それが人間の頭で考えたものである限り、虚構性から逃れることはまず難しいのでは。「未来永劫永遠不滅に変わることのない絶対的な真理」がむやみやたらにあるなどと信じている方が、かえってアブナイ。さて、本書は常識をガツンと撃ってくれるのかな。
 

●デザインのデザイン DESIGN OF DESIGN
 原研哉著/岩波書店/2003年10月初版
 ISBN4-00-024005-6  著者自装

 書店や図書館でこの本を手に取る層って、どのあたりなんだろう。デザインを学ぶ学生? すでにデザイン事務所で働いているひと? おそらく著者も版元も、ごく一般の、でも「デザイン」ってことばがなんとなく気になってるような、そんな人たちにこそ読んでもらいたいと思っているのではないかな。
 専門家が自分の専門についてまっすぐ語ったエッセイは、たいていの場合面白くなる。しかも、そのジャンルをよく知らない人の方が、かえって面白がれるとさえ思う。原さんの書く文章って、そんな典型のひとつだとみているんだけど、どうだろう。

2004 03 01 [booklearning] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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comments

『デザインのデザイン』はよく売れてるみたいですね。
詳報、お待ちしております(<自分で読めよ^^;)。
阿部謹也の「世間」話は、『日本社会で生きるということ』という単行本にも載ってますが(朝日新聞社から1999年)、
内容的にかぶったりするのでしょうか。
歴史学者といえば、網野善彦が亡くなってしまいました。

posted: (2004/03/02 2:08:38)

 コメントありがとうございます。

 阿部さんの世間話、とりあえず講談社現代新書から読み始めようかなと。で、ひょっとすると岩波新書は余分だったかという気にもなってきてまして(笑)。
 たしか中公新書に、網野さんや阿部さんたちの座談集みたいなのがありましたね。丁々発止のやりとりを面白く読んだ記憶があります。謹んでご冥福をお祈りします。

 『デザインのデザイン』売れているんですか。いやぁそれはめでたい。デザイン屋って文章となると急に普通になるというか、田中一光さんクラスでも、お書きになるものはわりと凡庸な随筆だったように思うんですよね。だもんで、原さんにはついつい期待しちゃいます。

posted: (2004/03/02 12:27:17)

 

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