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故きを温ねて
Letter from Yochomachi:「若い人は昔のことを知らなくてもいいと思っているんじゃないかな」(山野博大)
日経の当該記事は読んでいないので、余丁町散人さんが引用されている箇所以外の前後の脈絡はわからないんですが、「基礎資料が不足している」のって、どうしてなんでしょう。よほどそのときどきの、瞬間のできごとだけに一所懸命だったために、記録を残すとか資料を保存するとかの方向に気持ちが回らなかったんでしょうか。視線がとにかく「現在と未来」だけに向いていたのかも。
山野さんは「それを残してこなかった我々の方もいけなかったのだ。」と書いてます。
Japan Contemporary Dance Networkの会員ファイルによると、山野さんは「オーラル・ダンス・ヒストリーとでも言うべき(中略)舞踊家に歴史を語ってもらう勉強会を続けて来た」とのこと。「口伝による歴史」に並々ならぬ関心をもっておられる方なんですね。そういう人のセリフだけに、このことばには重みがあります。
ほんとうに「若い評論家は昔のことを知らなくてもいいと思っている」のかどうか、事情をよく知らないので何ともいえません。
ひとつ思うのは、どんなジャンルであれ、ものごとのはじまりって混沌としているだけに、いろんな意味で面白いはず。『プロジェクトX』の面白さも、半分以上はそういう「立ち上げ時の熱気ムンムンの楽しさ」を追体験できることにあると思います。「日本バレエの黎明期」って、さぞかし多彩なエピソードに満ちた面白い時代だったんだろうなあ、などとシロートは単純に想像してみるんですが。
それにしても、ブログの流行も含めて、みなさん「記録する」のが本当に好きですが、これは種の保存と同じく「人類の本能」と言っていいんでしょうかしらん。文学からおこづかい帳まで、「自分の生きてきた証」を後世に残しておきたいという欲望は、古今東西を問わず普遍的なものなんでしょうね。もっとも、どんなに膨大で詳細な記録があっても、読む人がいなければそれは存在しないのと同じ。「若い評論家」のみなさん、ぜひ歴史をどんどん掘り起こしてくださいな、などと勝手にエールを送ってみたり。たとえ記録は散逸していても、記憶が残っている場合だってあるかもしれませんしね。
2004 04 08 [dance around] | permalink Tweet
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