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よせばいいのに。
「コンテンツビジネス時代到来」とか「日本のマンガ・アニメに世界的な評価」とか、そーいや新聞や週刊誌でそんなふうな見出しをちらちら見かけていたなあ。
わたしはゲームもアニメもほとんど関心がないし、知的財産ビジネスっていうのにもピンと来なかったので、そのテの記事は熱心に読んでなかったんだけど、ぼんやり眺めていた限りでは「どっちかといえばメデタイこと」なんだろうな、と思っていた。
だが、どうも現在進行している事態は、それほどノーテンキにオメデタイものではないらしい。ていうか「ビジネス」がからむとどうしたって生臭くなることの、これは好例というか恒例というか。いや、シャレてる場合じゃないですが。
文化庁や知的財産戦略推進事務局の現体制は、如何にして「利権」を「権利」に見せかけるかと言うことに心血を注いでいる状態に堕してしまっているのではないか?
詳細は→melma!blog [The Trembling of a Leaf -「音楽障壁」粉砕編-]:「権利」と「利権」の違い?
ううむ。「知的権利」をいかに“カネを自動的に産み出す打ち出の小槌”にさせるかという「大目標」が、国の方針としてあるからこその〈心血を注〉ぎっぷり、ということなんでしょうかね。〈文化庁や知的財産戦略推進事務局の現体制〉は、これは「お国のため」という使命感でやってるんでしょう。だとしたら、まるで“戦時中”のメンタリティだけど、まさか玉砕覚悟とか言わねぇだろーなぁ。
ていうより、日本国ってもはやここまで「追いつめられている」のかと思うと、呆然とする。文化なんつう“ワケのわからないモノ”をせいぜいお高く切り売りしていくしか、このあと生き残る道がないのか。
ムダで・あやふやで・いいかげんで・テキトウで・移り気で・いかがわしくって・どーでもイイ人にはゴミ同然。で、どーでもイクナイ人にとってだけ、ものすごぉぉぉぉぉく大事。なんだかんだ言って「文化」ってそんなモノじゃないか? そんなのに「一国の未来」を賭けていいのか?
上に紹介したエントリにリンクされている山形浩生さんの「おたく立国ってマジ?」という一文にも、いろいろ考えさせられた。
が。よせばいいのに。
そうそう。よせばいいのにねぇ。大ヤケドしないうちに。
「これからの日本は文化で金儲けするんだもんね」という国の方針そのものが、今話題の輸入盤規制問題の、源流のひとつになっているんだろう。なぜ「既得権益」を声高に主張しなきゃなんない人が、いま存在してるのかが、少しだけわかったような気がした。
輸入CD規制なんてそんなバカ話がまかり通るなんて、あり得んぞと思う。でもって、「文化で金儲け」「知的財産でひと儲け」なんて、輪をかけてもっとあり得ない、と思う。
もっとも、1年後には今の何か悪い薬でも飲んで浮かれ狂っているかのような「知財ブーム」はすっかり影を潜めてしまっているのではないか、と言う見方も一部にはあるのだが……。
という見方に味方したいです。いや、だからシャレてる場合じゃないですが。
2004 04 14 [booklearning] | permalink
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