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[CD]:RÖNTYSKÄ SONGS

RontyskaSongs.jpg

RÖNTYSKÄ SONGS
MIPUCD 203 / 1993
Produced by Sari Kaasinen  Jacket art by Liili Motuste

 CD輸入権がどうしたこうしたというエントリの後ということもあって、どうもノーテンキにCDの話を書く気分ではない。
 心配しすぎなのかもしれないが、マイナーなジャンルを広く紹介するという行為は、かえって自分の首を絞めるんではないか、という危惧が生まれてきた。まぁウチのブログなんてどこにも誰にも何の影響力もないんだけれども、たとえば芸能人とか文化人とかがひとことテレビで言っただけである日突然有名になってしまうことなんてザラにあるんであって、そのせいでメジャー“儲け至上主義”レーベルに目を付けられてしまったらどうする? ブームがキター! なんて無邪気に喜んでいられなくなるぞ、きっと。
 とすると今後は、心ある者ならば「マイナーなものはマイナーなままに」とばかりに口をつぐみたくなってしまうんではないだろうか。……あまりに先走りしすぎ、とお叱りを受けそうだが、実際にそうなるというよりも、「ついそういう気分にさせられる」って方が、実はコワかったりする。
 
 
 ま、10年以上前にリリースされたアルバムについて、こんな場末のブログでひっそりと書いたところでナニがどうなるということもあるまい。気を取り直して、と。
 
 少し前のエントリ[CD] toorama : mordvin songsの文末で、私は

たぶんサリ・カーシネン好みなんだろう、これがフィンランドの MIpu Music からリリースされているというのも面白い。

 と書いた。唐突にフィンランド? サリ・カーシネン? という方もおられるだろうから、ちょっと補足しておきます。
 サリ・カーシネン Sari Kaasinen は日本でも80年代終わり頃から90年代にかけて人気を集めた、ヴァルティナ Värttinä というフィンランドのルーツ・ポップ・グループの創立メンバーである。現在はソロ活動の他、自身のレーベル MIPU MUSIC を音楽プロデューサーの夫と二人で持っている。実は toorama のアルバムを私が買ったきっかけも、それが MIPU からリリースされていたから、ということが大きかった。前述の「たぶんサリ・カーシネン好みなんだろう」という感想は、だから実は聴く前に立てていた予想だったのだ。
 
 全13曲収録とはいえ通して聴いてもわずか30分少々という、実にささやかなCD《RÖNTYSKÄ SONGS》は、そのサリ・カーシネン自らがプロデュースした一枚だ。表ジャケだけではなんのことかよくわからないだろうと思って、今回は広げて撮ってみた。
 サリ・カーシネンはフィンランドはカレリア地方の生まれ。ちなみに、フィンランドは古くからスウェーデンとロシアというふたつの大国の狭間で国境線が揺れに揺れた国で、ロシア側に面したカレリアも、第二次大戦後ふたつに分かれてしまっている。
 サリ・カーシネンがヴァルティナで試みたことは、自分の生まれ故郷のトラディショナル・ソングを採集し、自分たちのセンスでアレンジを施し、歌うことだった。では、よりオリジナルに近いかたちはどんなふうなんだろう? という好奇心に応えてくれるのが、この一枚というわけである。
 
 RÖNTYSKÄ ——読み方はわかりましぇん——は1977年に結成された、女性ばかりのコーラス&ダンス・グループ。ブックレットに集合写真があるので数えてみたら、総勢23名である——おっと、女性ばかりと書いたが、男性が一人だけ混じっているぞ——そういえばヴァルティナも結成時は20名を越える大所帯だったはずで、「大人数バンド」というのはもしかして彼の地ではおなじみのスタイルなのかもしれない。
 このCDも toorama と同じく伴奏楽器なし、純粋な人間の声だけ(曲により手拍子やダンス・ステップが入るが)。リードがソロをとりあとにコーラスが続く、というスタイルもよく似ている(ただしコーラスはユニゾン)。無理矢理 toorama との共通点を探す必要などどこにもないのだが、これを聴いていると MORDVA と KARELIA はやっぱ地続きなんだなぁ、とふと思ったりもする。
 
 トラック5の〈VOT VOT〉はヴァルティナ91年の作品《OI DAI》トラック7〈VOT VOT JA NIIN NIIN〉の「原曲」。聴き比べてみると面白い。そういえばむかし、RÖNTYSKÄ をアペリティフにして、ヴァルティナ全作品をファースト・アルバムから時代順にフルコースで聴いてみる、ということをやってみたことがあった。なんというか、近過去から近未来までを高速度で一気に駆け抜けたような気分だった。

2004 05 06 [face the music] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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comments

こんにちは。スウェーデンから書いています。RÖNTYSKÄの読み方は「ロンティスケ」だと思われます。ただし「ロ」は「ロ」と「レ」の間の発音になります。今度、聞いてみますね。

posted: mari (2004/06/08 0:36:41)

はじめまして、コメントありがとうございました。

読み方を教えてくださいまして、感謝です。
「ロ」と「レ」の間…ううん、難しい。舌をかみそうになりました(^_^;)

posted: (2004/06/08 11:45:12)

 

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