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チケットたずねて三千里、あるいは世界の車窓から(違

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 写真ではその大きさがわかりませんが、22センチ×34センチという、かなり大判サイズの「本」です。二つ折りにした紙を約200枚分束ねて、2本のビスで留めただけという製本。ちょっと手荒に扱うとすぐにどうにかなってしまうという、なんとも困った造りであります。
 
●Carouschka's TICKETS
 Testadora / 1998年
 Producer: Carouscka Streijffert
 Lyrics: Peter Kihlgård
 Graphic Design: Pia Högberg and Clara von Zweigbergk
 ISBN91-630-6907-5
 
 何度か再版されていて、かなり有名だからご存じの方も多いでしょう。もとは1998年11月から翌年1月にかけてストックホルムで開催された、同題の展覧会の図録のようです。中身は何かというと、世界じゅうのいろんなチケットを集めて載せている、ただそれだけの本です。とはいえ収集された国と地域がものすごい。すなわち:アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルキナファソ、ビルマ(ミャンマー)、カナダ、中華人民共和国、コロンビア、クロアチア、キューバ、チェコ、デンマーク、エジプト、エトアニア、フィンランド、フランス、ドイツ、グレートブリテン、ギリシャ、グァテマラ、ハイチ、ハワイ、香港、ハンガリー、アイスランド、インド、インドネシア、イラン、イラク、アイルランド、イスラエル、イタリア、象牙海岸(アイボリー・コースト)、日本、キルギスタン、クウェート、ラトヴィア、レバノン、ルクセンブルグ、マレーシア、マルタ、モロッコ、メキシコ、オランダ、ノルウェイ、パキスタン、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ロシア、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スリランカ、スウェーデン、スイス、シリア、タイ、チュニジア、トルコ、ウクライナ、アメリカ合衆国。
 
 はぁあ。引き写すだけで疲れちまっただよ。ブルキナファソっていう国なんて今の今まで知らなかったから、思わず検索しちまっただよ。他にもよく知らない国がいっぱいあるだよ。たとえばマルタ共和国。外務省のページを見ていて「96年9月 手塚治虫展開催」とかあってびっくり。なにかつながりがあったんでしょうか? ええとそれから、象牙海岸ってコートジボワールでしたっけ。
 国名を書き写しながらふと思ったのは、チケット収集時点と、本の出版時点と、さらに今頃になってワタシが感想文を書いてる現時点とでは、なにもかもが変わってしまった地域も少なくないんだろうなあ…。年々歳々花相似、歳々年々人不同(って合ってましたっけ^_^;)。
 
 とまあ、計67の国と地域の飛行機だの船だの列車だの地下鉄だのバスだの、のチケットがコレクションされているんであります。全て実際に使用したものだから、どれもパンチが入っていたり係員が書き込みしていたり半券になってしまってますが、そこがまた味だったり。1ページにつき1点からせいぜい3、4点が、(たぶん)原寸大で載っています。
 
 で、日本のページを見ると…。
 成田の空港施設使用料の領収書…ってコレちょっと違うし(^_^;)。
 その隣はJALで配ってる「エコノミークラス」のタグだし(^_^;)。
 おや、ナゼか中国の地下鉄の一日乗車券が混じってるしぃ(^_^;)。
 さらには文芸坐の入場券(ナニ観たんだ)に郵便局のスタンプ…って全然「乗り物」と違うしぃぃぃ(^_^;;)。
 結局、マトモな「乗り物チケット」はJR東日本、京王、西武、営団地下鉄のそれぞれ乗車券のみ。ちなみに、乗車券に刻印された日付によると、日本編は昭和59年と平成2年に収集されたもののようです。
 
 とまあ、よくよく見ればテキトーなトコロもあるんですが、そこらへんもまた楽し、ということで。それよりも、並べられたチケットのバックにひかれた配色や、ノンブルのタイポグラフィなどのページデザインが美しいので、思わずうっとり眺めてしまうんですね。地図帳をヨコに置いてそれぞれの国に思いを馳せていると時間を忘れてしまう、そんな一冊。グラフィック・デザインの参考書にするもよし、旅の絵本として愉しむもよし。ガタイはでかいが、とてもキュートな本です。
 
 

2004 08 01 [design conscious] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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