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子供さん
一見なんの変哲もない、賃貸駐車場の注意書きです。ここを借りて毎日利用している人でも、まずほとんどは見ていないでしょう。いわば、誰にも読まれることのない注意書き。まあ、この手の文章は最初から誰にも読まれない宿命にあるんですが。
私も「あぁ誰も読まない注意書きだな」と思って、そのまま通り過ぎたんですよ。ですが、なにかこう、首根っこをつかまれたような気がして。「おいちょっと待てよ」と言われたような気がして。
で、戻りましたよ。戻ってもう一度、誰も読まない注意書きをじっくり読みましたよ。
「子供さん」
引っかかったのはコレだったんですね。
「子供さん」
あのう、私はずうっと京都に住んでいるものですから、よその街とか土地とか全然知らないのですが。
「子供さん」
言います? フツーに。
いや、日常会話ってイミじゃなくって、こういう注意書きカンバンでの話。
書くんでしょうか? 全国どこでも。
「子供さん」
他に「お子さん」という言い方もありますね。「子」だけで充分といやあ充分なんですが、「お」と、さらに「さん」までつける。どれほど丁寧に言やぁ気が済むんだYO! というツッコミが入りそうな感じですが。
で、こういう風に、丁寧語を重ねるっていうのは京都独特の方言だ、とかいう説を、聞いたことがあるようなないような。その説が正しいのか正しくないのか、私にはわからんわけです。どうなんでしょうか、みなさん。
ともかく、このカンバンが「人間を大事にしている」ってことだけはよくわかります。もしかしたらかなりの子供好きなんでしょうか。
なにせ、ペットは「類」です。ゴミも同じく「類」です。
吸い殻、火災、事故、盗難、火気はみんな「等」です。
そんな中にあって、子供だけが晴れて「さん」づけなのです。
「類」と「等」では、「類」の方がすこしだけ位が上のような気もしますが、たいした違いではないでしょう。このカンバンにとって「「子供さん」だけが特別で、それ以外の存在は「あって欲しくないもの」「邪魔なもの」であることは一目瞭然です。
もしこのカンバンに「子供類」とか「子供等」とか書いてあったら…?ぶるぶる、想像するだに恐ろしい。
「子供さん」
厳禁致したり、固くお断り致している「注意書きカンバン」であるにもかかわらず、どこかにゆとりのようなものがあるように見えるのは、おそらくこの一言がポイントなのでしょう。
ここにだけ、ヒューマンな優しい風が吹いている、というか。…なんだよヒューマンな風って。
2004 08 03 [funny face] | permalink Tweet
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