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怖いもの
日曜日夜に始まった、東海から近畿地方にまたがる地震は、まだまだ収まってはいないようだ。火曜朝にも3〜40秒ほど、揺れた。
たまたま聴いていたNHKラジオでは台風情報を流していたのだが、すぐに地震情報が割り込んだ。つまり、臨時ニュースの二乗である。思わず笑ってしまった。
日本人の怖いモノを、昔から「地震・雷・火事・親爺」という。いつごろ生まれた成句なのか知らないが、なんとなく江戸時代っぽい感じがする。3番目に火事が入っているからそう思うのかな。
私の住んでいる所では、今年は雷で眠れなかった、ということはなかったように思う。そういえば噴火も怖いんだろうが、近畿地方では火山に対するリアリティが、他の地方に比べてずいぶん低い。こちらではやはり地震だろう。
あの阪神淡路大震災の記憶が身体に深く刻み込まれている者なら、少しの震動にも敏感に反応し、手から汗がにじんでくるだろう。今回の地震は大きな横揺れで、部屋じゅうローリングされてちょっと酔いかけた。日曜夜のときはソファにうずくまっていたのだが、目の前に見える棚の、平積みしているCDの山が崩れそうになって慌てた。部屋がゆっさゆっさと揺れるたびに、積み上げたCDがずずず、とこちらに向かって横滑りするのである。ひえええ。
ゆっさ、ず・ず。
ゆっさゆっさ、ずずず。
ゆっさ、ず・ず・ずずず。
これはヤバイと、まだ揺れてるまっ最中にもかかわらず、思わずCD棚を押さえに立ち上がってしまったくらいだ。危ねえって。これで殉職でもしたら「よーし、今日からオマエはCD刑事(デカ)だ」とか呼ばれるんだよなきっと。…なんだよデカって。
やっぱり地震は嫌いだ。いや、まさかアレを好きなヤツなどいないと思うが。で、2番目はというと、今年はやはり台風でしょうな。ほとんど週刊誌並みのペースでやってくる。とにかく、台風直撃の真っ最中に地震まで起こったらどうしよう、というのがマジで冗談にならないのが、目下の西日本なのである。桑原桑原(あれ、これは落雷よけのおまじないだったっけ)。
火事というのは、どちらかというと2次災害ではないだろうか。落雷で木が燃えそのまま延焼したとか、地震で崩壊した家屋から火が出て、やがて手をつけられない事態になってしまった、とか。そう考えると、地震や雷や台風などのような自然災害と並べるのはちょっと違うような気がする。
じゃあ3番目になにを持ってこようか? と考えて、今なら「テロリズム」かなあと思ってしまった。アレは人間のすることではあるけれども、ふつうの人間には止めようのない点では、似ているのではないか。テロ行為の予測と地震の予知は、たぶんどちらも不可能だろう。もっとも事後を比べると、自然災害の爪痕よりもテロの現場の方が数倍も陰惨で正視に耐えないものだろうから、むしろテロこそ「現代人の怖いモノ」の最上位に持ってくるべきなのかもしれないが。
というワケで、語呂の良さとかそういうのも考え合わせると「地震・台風・テロ・オヤジ」ということにな…おっとっと。
おっと、4番目が残っていた。うーむ、どうしたものか。このママだとまちがって「エロオヤジ」と読まれてしまいそうである。ま、エロオヤジもある意味怖い存在ではあろうが、ちと知性というか、品位というか、そういうモノに欠けるのが惜しまれる。困ったな。
困った時には古典に還るに限る。そう、日本には有名な古典があるじゃないか。なにがって、世の中に怖いものなどナニひとつない、と豪語する男の話だ。そんなコトはないだろうと周りがあれこれ試すが、確かにどんなモノゴトにも動じない。しかしなおも問いつめてみると、実は怖い存在がひとつだけあった、という、あの有名な話である。
ということで、日本人の怖いモノ・改訂版を以下のように決定する。
地震・台風・テロ・まんじゅう
…おあとがよろしいようで(^_^;)。
2004 09 07 [living in tradition] | permalink
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