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プロ野球はどうして「エライ」のか
「はじめてのストライキ決行」で、ドタバタ騒ぎを演じているプロ野球界。今日の日刊スポーツ(大阪本社版)にはこんな記事が載っていました。
各界の反応
「主導権だれが…」・川淵キャプテン
ストに賛否両論・女子プロゴルフ界
妥協点を探って・北の湖理事長
(4面・見出しのみ引用)
サッカー・女子ゴルフ・大相撲という、他プロスポーツ界からの談話を載せたベタ記事ですが、こういう取材って、答える方は気持ちの上でどうなんでしょうかね。
スポーツ新聞各紙って、よほどのことがない限り必ずプロ野球が一面じゃないですか。ニッカンはサッカーを一面に持ってくることも多いですが、一年通してみるとやっぱりプロ野球の話題がダントツでしょう。「プロ野球」がそれだけ国民的人気を集めていることの証拠である、と言いたいところでしょうが、他のプロスポーツ界からすれば「なんでプロ野球ばっかり」という思いだって絶対あるはず。まあ、新聞はプロ野球に譲って、ゴルフもサッカーも大相撲もあるいは他のスポーツでも、それぞれ専門雑誌というメディアが一応あるから別に構わないもんね、なのかもしれないですが。でもねえ、やっぱり翌朝の新聞のトップを飾るってプロにとっちゃ何よりの名誉だと思えるんですけれど。
しかしですねえ、やっぱりどこか奇妙だとは思うんですよ。なんで「プロ野球」ばかりがここまで特別視されなければならないのか。そのくせ、社会人野球なんてほとんど話題にもしないですしね。アマの話題があっても、せいぜいプロへのドラフトがかかったごく一部の選手の動向のみ。米大リーグの日本人選手の取り上げ方と同じく、ヒット何本打った三振いくつだ、というふうな局地的な報道ばかりで、あまり面白くない。
「野球」というスポーツではなく、その中の「プロ野球」という特殊な一ジャンルだけをメディアがらみにすることで「国民的スポーツ」に育て上げたのは、読売新聞社の力によるところ大でしょう。特に正力松太郎さんの手腕はプロ野球70年の歴史を語る上でどうしてもはずせない部分だと思います。逆に言えば、「プロ野球」はいまだ正力氏の影から抜け出せずに四苦八苦しているようにも見えます。なまじマスコミというスポットライトを長く浴び続けたものだから、それ以外の「存在のありかた」が今やだれにも想像できないんでしょうね。これはこれで、ちょっとかわいそうかもしれません。
とはいえ、今もなお「プロ野球」にまともに取り組んでいるメディアって、スポーツ新聞各紙とラジオくらいじゃないでしょうか。ストによる中止でテレビ・ラジオ各局は代替番組を放送しましたが、代わりの番組として球界再編問題を取り上げるのは、どうもラジオ局だけだったような。ということは、テレビ局にとっては、視聴率の取れなくなった「プロ野球」を見限るチャンスと思っているかもしれません。
ことここに至っても、「プロ野球」は「プロ野球」だけでこの問題を乗りきろうとしています。野球人気の低落は高校野球をも含めたアマ・プロすべての大問題である、という認識は、どうやらみじんもないようです。「われわれプロ野球は国民的スポーツである」とのプライドがそうさせているのでしょうか。経営者も選手会も、そして「プロ野球ファン」(「野球ファン」に非ず)も、そういう風な「プライド」を持ってるという点では、おそらく共通していることでしょう。
実は、ソレがいちばんの問題だと思うんですが。…ちゅうか、いっぺん超マイナースポーツに戻ったらどないやねん、プロ野球。目ェ醒めまっせ。
2004 09 19 [booklearning] | permalink
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