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1+1は2になるか(1)
…といっても算数のはなしではアリマセン(汗)。地球儀の裏側どうしを結びつけちゃろ、という、音楽上の試みについての話題。
異種格闘技っつーか何というか、前回のエントリで取り上げたCDはいわば「ウエスト・ミーツ・イースト」だったんですけど、そのテのものはまだまだあります。
たとえば世間一般で「ケルト」と称されるジャンルで言うと。有名どころではたとえばアフロ・ケルト・サウンドシステムがそうだし、先般来日したキーラもそう。アフリカ系のパーカッションを用い、リズム的にもアフロなテイストをふんだんに取り入れて、ともすれば「癒し系」(オエッ)などと思われがちな「ケルト音楽」に新風を送り込んでいるんだそうで。
で、一応ここらあたりの音楽だと、真面目な(?)「ケルト音楽ファン」(なんじゃそりゃ)にも理解されやすく、ま、伝統音楽の新たな解釈と再生の試み、なんてお堅いフレーズなんかを持ち出して、とりあえずは通行手形をもらったりします。
それじゃあ、こんなのはどうだろうか。
●EL AGUA DE LA VIDA
SALSA CELTICA Greentrax/G2CD7010
2003年
Cover Photo:Andy Shaw
Design:The 16K Design Works
版元の Greentrax というのは、スコットランド音楽好きにはよく知られた有名レーベル。そういう「ブランド」から出ているということもあるんでしょう、このアルバムはとてもきちんと作られた、しっかりしたCDなんですね。ぼーっと聴いていたら、え、ドコが CELTICA なの、と思うくらい、サルサしてます。それもそのはず、演奏曲はほぼ全て彼らのオリジナル、スコテッシュ・チューンのメドレーが1曲と、ラストの〈Auld Lang Syne〉(《蛍の光》という邦題でおなじみの、アノ曲です)だけが「ケルト」っぽい。使用楽器も同じで、基本というかメインはブラスとパーカッションで、そこにパイプやホイッスル、フィドル(ヴァイオリン)がちらちらと顔を覗かせます。
まあ純粋なサルサかというと、うーんやっぱりどことなくスコテッシュ風だよなあ、という感じで、好意的に見れば「ハイレベルな融合に成功している」ということになるんでしょう。しかし、CDとして聴いていて面白いか面白くないかと問われれば、ソレはまた別のハナシかもしんないぞ、と。
異なるモノどうしがぶつかる時は、双方がカタマリで残っていると、聴いていてハラハラドキドキできる。耳の中に違和感がざらっとした感触のまま、妙にあとを引いてしまって、なんだかよくわかんないけど気になるからもう一度リプレイしてみよう、という気にさせる…ということだってあるかもしれない。
話はかわりますが、近年は焼酎ブームだそうで、ちょっとコじゃれた飲み屋に行くとワケわからんくらいたくさんのメニューがありまして、芋麦米蕎麦はもとより、玉蜀黍やら臭橙やら紫蘇やら黒糖やら胡麻やら葡萄やら栗やら柿やら松茸やら秋刀魚やら(一部ウソが混じっております)、いろんな材料で造った焼酎が並んでますが、原料素材の味がそうとう感じられるモノと、言われなきゃわかんないよソレ、というモノとありますよね。
素材の風味を生かした焼酎だとわりと好き嫌いがハッキリするし、また飽きやすいっていうデメリットもありますが、そのかわりハマるととことんアトをひく。反対に、のどごしスッキリあとくちサワヤカに仕上げられたモノだと、誰にでも飲みやすいけど印象に残りにくい。ま、どっちしにしろ酔ってしまえば同じなんですが(笑)。
そういう喩えで言えば、このCDは「のどごしスッキリあとくちサワヤカ」系でしょう。<絶妙のブレンドで熟成された大人の味。コクがあるけどクセのない、まろやかな風味が特徴です。>って、いま、とある売れ筋焼酎のパッケージに付いてる宣伝文句を見ながらキーボードを叩いているんですけど、まあそんな感じかな。
マジメに聴けば「サルサにしてはちょっとヘン」なのですが、演奏に破綻はないしなによりみんな上手なので、ともすればさらっと聞き流してしまう。
あ、もちろん、この手のバンドはライブは別物。ナマで聴けばさぞかし楽しいだろうなあとはじゅうぶん想像できます。なので、ここまでの私の書き方は、決してこのバンド自体を貶めているワケではありませんので念のため。
で、それに対抗して…るワケはないですが、もっとアクが強く残ったままのCDってのも存在しているわけでして。たとえばこんなアルバムが…(つづく)
2004 10 24 [face the music] | permalink Tweet
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