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あぱらちあん・シャミセンだああああ

AppalachianShamisen.jpg

 ぎゃははははははははははは。
 
 CDショップの店頭でコレを見つけたときの、私の最初の反応だった。
 はい、タイトルとジャケ写から想像できるとおり、コレはブルーグラスのアルバムです。
 
●Appalachian Shamisen
 The Last Frontier Feauturing Takeharu Kunimoto
 Now and Then 2005(2004年)
 
 タケハル・クニモト…うーん、どこかで聞いたような聞かないような(どっちだ)名前だなあ。帰宅してから検索してみると、ありましたありました。それもオフィシャル・サイトが。
 
うなるカリスマ!! 国本武春
 
 そだ、浪曲師だったんだ。字面を見て思い出したぞ。
 
 しかし同時に、なんで浪曲師がブルーグラス!? とも思ったけれど、上のサイトでバイオグラフィを読んでいたら、中学生の頃からフラットマンドリンを弾いていたほどのブルーグラス好きだったんですね。道理で。失礼しましたあ。ちなみに、本作では14曲目で「本職」の片鱗が窺えます(どういう意味かは、聴いてからのお楽しみということで)。
 
 でもなあ。三味線でブルーグラスって、まあバンジョーの代わりにゃなるんだろうけど、しかしよほどブルーグラスフレーバーというかセンスというか、そういうのがなけりゃただの寒いギャグにしかならんぜオイ、と半分心配しながらプレーヤーに載っけてみたんですけどね。聴いてみたらば、意外なほどストレートなブルーグラス。バックを固める The Last Frontier というグループも、正統派プレイヤーの集まりらしく、安心して聴けました。つーか、正調ブルーグラスしてればしてるほど、よけい可笑しくなってくるという、ヘンな状態になってしまうのです。
 というのも、曲目リストがこれだもんなあ。(太字は国本師オリジナル曲)

  1. Appalachian Shamisen
  2. Are You MIssing Me
  3. Tiger Creek
  4. Lonsome Dreams
  5. Lonsome Yokocho
  6. It Was Your Love
  7. Eureko's Breakdown
  8. I'll Never Shed Another Tear
  9. Ninja Rag
  10. Little Girl And The Dreadful Snake
  11. Earl's Medley
  12. This World Is Not My Home
  13. Dream of A Geisha
  14. Pray For Asia

※シークレット・トラックとして、実は15曲目が存在します。
 

 おいッ! なんだそのロンサム横丁ってのはッ!
 
 
 忍者ラグゲイシャの夢!?
 
 …ま、「ロンサム横丁」ってネーミングは、なんとなくCKB唄うところの「ヨコワケ・ハンサム」な語感もありますな(違)。

 
 ところで、ライナーノートにこういうコメントが載ってます。

The banjo first arrived in Japan in 1854 with the historic visit by the U.S.Navy's Commodore Matthew C. Perry.One hundred and fifty years later, Takeharu Kunimoto has brought the music of the banjo's Japanese cousin--the shamisen--to the United States in a form never before heard in this country.

 なんだよ Japanese cousin って。勝手に縁組してんじゃねえぞ(笑)。
 
 マジな補足を少しばかりしておきますと、1854年にペリーが持ってきた、というのはですね、嘉永六年(1853年)、アメリカは東インド艦隊の軍艦四隻が、突然江戸沖にやってきたわけですよ。いわゆる「たった四杯で夜も眠れず」の黒船ですね。で、「オマエの国と条約を結んでやるからありがたく思うよーに。来年もっかい来るからそれまでに返事をまとめておくよーに」と言い放ち、その言葉どおり、翌1954年にペリー再訪。で、肝心のバンジョーは、54年の再来日時に連れてきたミンストレル・ショーのクリスティ一座が、持って来ていたと。とまあ、こういう経緯なんですね。ちなみに、この一座がこのとき演奏し唄ったのは、かのフォスターの曲(草競馬とかおおスザンナとか)だったはずだ、というところまで分かっているそうな。この辺のエピソードは「ニッポン洋楽事始め」関連本にはたいてい載ってます。
 それはいいとして、150年後に国本師がバンジョーのいとこであるところの三味線を持ち込んだ、しかもこの国でかつて聴いたことのないフォーム…ってのが笑えますね。まあ確かに、日本人である私も never before heard でしたから。
 
  
 しかしこういうのって、怒る人と笑う人に分かれるような気がしますな。ま、あたしゃあ思いっきり笑ってしまったわけですが。
 
 先にも書いたように、演奏者のテクが確かなのと、しっかりと「ブルーグラスしてる」センスの持ち主なので、限りなく冗談に近いコンセプトとはいえ、限りなくマジなCDに仕上がってます。つーか、違和感を持つのは実は世界中で日本人だけかも、という気も。

2004 10 23 [face the music] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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comments

やあ,お株を取られました。これは楽しそうだ。聞きたいなあ~。
逆にバンジョーがモロッコ音楽のバンドに参加してた1970年頃の
ものを取り上げる予定だったけど,もう少しバンジョーのことを
勉強してからにしよっと。

posted: わたなべG (2004/10/24 8:06:19)

なにをおっしゃいます、『MOUNTAIN TALE』では、あっちゃあ、先を越されたぁ、などと思ってましたから(競ってドースル・笑)。

>バンジョーのことを勉強
150年前っていうと、当然ブルーグラスは存在してないですし、クリスティ一座がかき鳴らしていたのは今でいう4弦テナー・バンジョーだったと思われます。だからこのCDライナーの文章はハッタリばっかりというか、ツッコミどころ満載なんですね。
モロッコ音楽というと、イスラム/ムーア人→アフリカ、って連想ゲームになりますか。バンジョーのルーツはアフリカだと言われてますから、少なくとも「三味線がバンジョーのいとこ」だなんて言い張るよりかは、ちょっとは親近感はあるような感じですかね(とはいえ、イスラムにまで遡るというなら、もとはみんなウードじゃねーのか、って感じなのかもしれないですが)。

posted: (2004/10/24 21:42:49)

どうもはじめまして。

TBしたんですが、操作ミスで同文をダブって送信してしまいました。すみません。

そうそう、三味線とバンジョーはルーツが同じだと思いますよ。太鼓に弦を張った楽器は古代ペルシャが起源だと覆いますが、それが胡弓、三味線に。一方、セネガルのコーラという楽器がバンジョーの原型だと思うんですが。コーラは複雑な楽器なんですが、奴隷たちは簡素化してバンジョーを作ったというのが私の推測です。

posted: twin_lens (2004/10/26 11:13:23)

はじめまして、コメントありがとうございます。

>そうそう、三味線とバンジョーはルーツが同じだと思いますよ。
なるほど〜。勉強になりました。ルーツを辿っていく話は好きな方なので、このあたりとても興味深いです。

ただ、この手の話でよく思うのですが、起源をとことんまでさかのぼってしまうなら、現役の楽器の大半は「所詮親戚どうし」ってことにはならないでしょうかしらん。

三味線とバンジョーに話を戻せば、たとえルーツを同じくしてると言っても、少なくとも「いとこ」と呼ばれるほど近くはないだろ、って思うのですがいかがでしょう。

posted: (2004/10/26 13:16:51)

 

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