« とびだしちゅうい?誰に? | 最新記事 | キリスト教徒ではないけれど »

[DVD]:B comme Béjart

 

BCommeBejart

 
 2004年劇場公開映画だって…。うーん、全然知らなかった。こういう映画はやはり映画館で観たかったなあ。
 
●ベジャール、バレエ、リュミエール(原題:B comme Béjart)
 監督/マルセル・シューバッハ
 出演/モーリス・ベジャール、ジル・ロマン、エレザベット・ロス、小林十市、クリスティーヌ・ブラン、他
 2002年/スイス映画(日本公開2004年)
 DVD:日活株式会社 DVF-86/2004年12月
 本編92分+特典映像66分
 
 2001年の、ベジャールおよびベジャール・バレエ団の新作『リュミエール』が完成するまでを追ったドキュメンタリー・フィルム。DVDには映画本編の他、映画に使われるベジャールの代表作『ボレロ』などの演目をノーカット版収録という太っ腹。特典映像だけでも見応えありまくりだ。
 
 ベジャール、そして『ボレロ』…といえば絶対に忘れることができないのがジョルジュ・ドンで、彼が亡くなったのが1992年11月30日なのだけど、その時のベジャールは、報道などで見る限りは「彼ももうダメなんじゃないか」と思ってしまうくらい、ボロボロだったように記憶している。ひょっとしてジョルジュ・ドンの後を追うんじゃないか、などという感じもしていた。
 この映画は、もちろんベジャールが主役なんだけれども、その若々しいことといったらどうだろう。あの頃よりもずっと生気にあふれ、またいい顔をしている。ていうか、このオッサン、いい年の取り方をしたなあ、という感じだ。若い頃はずいぶんイヤミな目つきだったし、そして今もあの独特の眼光の鋭さは衰えていないけれど、そこに柔和さが加わって、時になんとも言えないいい表情をする。ううむ。いいなあ。
 
 ベジャールが自らダンサーに振りをつけるシーンがふんだんなのが嬉しい。彼は1927年1月1日生まれというから、もうすぐ78歳。この映画を撮影していた時点でも74歳ぐらいだが、身体の動きを見ているだけだと5〜60代といっても通用するんじゃないだろうか。おなかはどっぷり出ているし、ダンサー体型なんかではもちろんないんだけれど、自分でこういう動きだ、と説明してみせるところなど、すごく美しいと思う。
 
 2001年6月にリヨンの古代ローマ遺跡で初演された『リュミエール』はまた、ジャック・ブレルとバルバラのシャンソンがふんだんに使われたバレエとして、シャンソン好きにもたまらない舞台だ。バルバラの「黒い鷲」や「わが麗しき恋物語」などは、最近もクミコさんあたりが盛んにカバーしていてすっかりスタンダード・ナンバーだし、1978年に50歳を目前にして癌で亡くなったジャック・ブレルも、今でも人気の高いアーティストのひとりだろう。映画でも、彼の代表作「行かないで」や「華麗なる千拍子」などが使われていて、それがバレエになる経過を観られるのが楽しい。
 
 というわけで、ベジャールの『リュミエール』は、日本公演があれば絶対に大ヒットするに違いない。2002年に一部抜粋した演目が上演されたということだが、ぜひとも完全版をこの眼でみたいものであります。…とはいえ、もし仮に日本公演が実現しても、チケット入手はおそらく至難の技だろうなあ。
 

2004 12 23 [dance around] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

「dance around」カテゴリの記事

comments

 

copyright ©とんがりやま:since 2003