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Värttinä聴きまくりっ!(2)
●Black Bird(The Second Album)
3984-23229-2/1998年(オリジナルは1989年作)
FINLANDIA RECORDS
原題は《ムスタ・リンドゥ MUSTA LINDU》。ミュージック・プラントのディスコグラフィでは何故か1981年作となっているが、これは誤りだろう。
ジャケットに写っているメンバーは17名。まだまだ大所帯だ。スタイルとしてはファースト作の継承だけどサウンドはぐんと洗練され、精緻になっている。ソプラノサックス(?)とかが入っているからというのもあるが、コーラスの声質が格段にしっかりしてきたことも大きいだろう。
全13曲で、サリ・カーシネンの自作曲が1曲、「Värttinä Boys」作(笑)とクレジットされた1分足らずのものが1曲、他は全てトラッド。サリのオリジナル曲[03]「Itku Weep」はしっとりと美しいメロディとアレンジで、後の Värttinä サウンドの萌芽が既に見られる。[07]「Kadrilli Quadrille」はなんだか支那音階風で面白い。何故にカドリーユ? また、ヴァルティナのレパートリーの中で個人的に好きなナンバーの五指に入る [09]「Kylä vuotti uutta kuuta Waiting For The New Moon」の最初の録音が収録されているのもポイントが高い。
●Oi Dai
SPRITCD 4/1991年
Sonet/Polygram
2枚のアルバムを発表したのち、ヴァルティナはいったん空中分解する。メンバーのほとんどが大学進学などの進路選択を迫られていたということだが、ということはここまでの2枚って中学生・高校生が作っていたわけか。それはそれでとんでもなく凄いことだな(サリ・カーシネンは確か1967年生まれだから、ファーストアルバムの時点で20歳ということになる)。
ともあれ、主要メンバーのサリ・カーシネンとその妹のマリをはじめ、何人かはヘルシンキのシベリウス・アカデミーで民俗音楽を専門的に研究するようになる。
1990年、首都に移ったカーシネン姉妹を中心に、新しいメンバーを加えた総勢10名で、ロックやポップスのテイストをふんだんに取り入れた新生ヴァルティナがスタート。簡単に言うと<片田舎の民謡>ミーツ<都会>、ということですかね。80年代後半から世界各地で「伝統音楽の現代化」への試みがなされていたが、こうしてヴァルティナもまた、そんなグループのひとつとして名乗りをあげることになるのだ。
1991年にリリースされた本作は、ファースト作にくらべて人数は半減したけれども、サウンドはかなり整理されているしテクニックも格段に向上しているしで、完成度は高い。実際かなり売れたそうだ。
91年の「ニュー」ヴァルティナの新生デビュー・アルバム(通算第3作)『オイ・ダイ』は若い女性が日常生活とセックスについての思いを自由にユーモラスに歌う内容もセンセーショナルな話題を呼んで大ヒットし、彼女たちは一躍全国的な人気グループになった。(ヴァルティナ ホームページ:DISCOGRAPHY & CD SHOPより)
フィンランドのことばがまるきり分からなくとも、たたみかけるような強烈なコーラスとそのリズムは、一度聴けば忘れられないほどのインパクトがある。のちに米国盤も出たことでもわかるように、フィンランド国内だけの人気にとどまらなかったのは当然だろう。
彼らのどこが新しかったのか。もともとのカレリア民謡を、彼らはどうアレンジしたのか。RÖTYSKÄ SONGS に収録されている「Vot Vot」と、本作の[07]「Vot Vot Ja Niin Niin」を聴き比べると面白い。
全12曲で、意外にも彼らのアルバムとしては初めての(1曲だけサリ・カーシネンが補作したものがあるが)、そしておそらくは最後だろう「全曲トラッド」アルバム。「原点に戻って勝負ッ!」みたいな、決意と気合が感じられる一枚である。(以下、続きます)
2005 01 13 [face the music] | permalink
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