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[Mook]:日本の博覧会

 

taiyo133

 
●日本の博覧会 寺下勍コレクション
 監修:橋爪紳也/別冊太陽 日本のこころ133/平凡社/2005年2月刊
 ISBN4-582-92133-7
 アートディレクション:永原康史
 
 リアルタイムでEXPO '70を覚えている人って、もう40代以上になりますね。
 太陽の塔のうしろにあったお祭り広場で、皇太子殿下がボタンを押すと、大屋根から一斉に紙吹雪が降り注いできたシーン。開会式のハイライトなのでどこかで写真をご覧になった方も多いと思いますが、実はあれ、スイッチそのものはシンボルマークを点灯させるだけで、くす玉が割れたり紙吹雪や折り鶴が落ちてきたりという仕掛けとは関係がなかったそう。つまり、シンボルマークの点灯を合図に、大屋根から人海戦術で撒いていたんだそうな。
 こうして、世紀の祭典は、もっともらしく、いたって原始的に、一見オートマチックに、ハナバナしく開幕されたのである。(万国博開会式うらばなし/P.206)

 このムックは、その寒風吹きすさぶ会場で実際に紙吹雪を撒いていたという寺下勍さんのコレクションによる、日本の博覧会の歴史を知るビジュアル・ブックです。図版入りで紹介されているのがこの大阪万国博覧会までで、それ以降の博覧会はリストで挙げられているだけ、というのが残念。それにしても、年表を見ていると、ほんとにたくさんの「博覧会」が日本各地で行われてきてるんですねえ。1970年以降の主なものだけでも、ざっとこんな感じ。いくつ覚えてますか?

日本万国博覧会(1970年3月15日〜9月13日・大阪)
(参考/まぼろしチャンネル:ノスタル爺劇場 まぼろしの万博 当時を知る人ならたぶん涙モノのフィルムでは?)
沖縄国際海洋博覧会(1975年7月20日〜1976年1月18日・沖縄)
●ポートピア '81(1981年3月20日〜9月15日・神戸)
国際科学技術博覧会(1985年3月17日〜9月16日・筑波)
●アジア太平洋博覧会 '89(1989年3月17日〜9月3日・福岡)
●横浜博覧会(1989年3月25日〜10月1日・みなとみらい21)
●世界デザイン博覧会(1989年7月15日〜11月26日・名古屋)
国際花と緑の博覧会(1990年4月1日〜9月30日・大阪)
●世界リゾート博覧会(1994年7月16日〜9月25日・和歌山)

 いわゆる地方博とか「全国菓子大博覧会」とか「ジャパン・エキスポ」とか「花と緑の博覧会」などなど、日本の各地で持ち回りで開催されているイヴェントまで広げると、ほとんど毎年どこかで博覧会が行われていることになります。
 もっとも、ふつう「万博」と呼ばれる国際規模の博覧会は、「国際博覧会条約」に基づいてBIE(博覧会事務局)に登録もしくは認定されたものに限られます。これまで日本で開催された中では、上のリストのうち太字になっているものがそれにあたります(ただし、沖縄と筑波は Special Exhibition というカテゴリーなんだそう)(参考/外務省ホームページ:万国博覧会とは?)。
 
 日本で最初の「博覧会」は、明治4年(1871年)の「京都博覧会」。国家的イヴェントともなった明治時代最大の博覧会は明治36年(1903年)の「第5回内国勧業博覧会(大阪)」で、153日間に435万人を集めたといいます(ちなみに、失敗に終わった沖縄海洋博は、約348万5千人だったとか…)。はじめての夜間開場とイルミネーション、メリーゴーラウンドやウォーターシュートなどの娯楽施設、大阪初登場のエレベーター、大水族館などが呼び物だったよう。 
 …とまぁ、明治期からはじまって1970年まで、えっ、こんなテーマの博覧会もあったの、とびっくりするような珍しくも貴重な図版が満載のムックであります。ただ、最初にも書きましたが、1970年以降の最近の博覧会も図版入りで見たかったな。ぜひぜひ続編を期待したいところであります。
 
 ところで、もうすぐ愛・地球博なんですが、世間的にはどれくらい盛り上がってるんでしょう。ご参考までに、案の定というかなんというか愛知万博の失敗を静かに見守るサイトというのもあるんですけどね。ワタクシ前売り券はまだ買ってませんが、うーむどうしようかなあ。
 

2005 02 21 [living in tradition] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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