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『メリーポピンズ』のこと

ウォルト・ディズニー(1901-1966)晩年の代表作『メリーポピンズ』(細かい話ですけど、原作の方は『メアリー・ポピンズ』と表記して区別するのが一般的みたいですね。日本語って便利だ・笑)。このたび封切り40周年を記念した2枚組DVDの日本語版が出たので、懐かしさとともにたっぷり楽しみました。
●メリーポピンズ スペシャル・エディション
VWDS4988/ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント/2005年1月発売
監督:ロバート・スティーブンソン
脚本:ビル・ウォルシュ、ドン・ダクラディ
音楽:リチャード・M・シャーマン、ロバート・B・シャーマン
出演:ジュリー・アンドリュース、ディック・ヴァン・ダイク他
封切りは1964年ですが、実写部分の撮影は1962年から63年ごろ。もちろんCGなんてなかった時代、アニメーション部分の制作も含めポストプロダクションに相当の時間がかかったことでしょう。ちなみに日本公開は1965年12月だったそうで、ジュリー・アンドリュース主演作としては『サウンド・オブ・ミュージック』の方が一足先(同年7月)に日本の観客の目に触れることになりました。

ソフト紹介はこのくらいにしておきましょう。実はこのミュージカル映画を久しぶりに見直していて、特に音楽面で『スペシャル・エディション』の特典映像を観てはじめて「そうだったのか!」と気づくことが少なからずあったので、そのことを書きます。
はじめて観たのはまだうんと子どもの頃だったけれど、いかにもディズニーらしいというか、ガチャガチャと騒々しいナンバーがいくつかあって、実はそれほど好きな作品ではありませんでした。たとえば「Supercalifragilisticexpialidocious(スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドゥーシャス)」がそうだし、屋根の上で煙突掃除夫たちがハードなダンスを繰り広げる「Step in Time(踊ろう、調子よく)」もそう。いずれも楽しいし迫力のあるナンバーで、オトナになってからだとそのカッコよさや凄さもよくわかるんですが、私はそれより映画後半のストーリーの核にもなる「Feeds the Birds(2ペンスを鳩に)」がもっとも強く心に残っていました。今でもこのメロディーを聴くと、自然にじんわりしてしまいます。
実はウォルト・ディズニー自身も、この曲をもっとも愛していたんだとか。何度もシャーマン兄弟にピアノ演奏をせがんだというエピソードも微笑ましいですが、御大の没後、ディズニーランドでのウォルトの銅像の除幕式でリチャード・シャーマンがこの曲を弾いていたら、一羽の鳥が空からスッと舞い降りてピアノのそばを横切った、というのもちょっといい話。
ところでこの映画、古いロンドンが舞台になっています。いつの時代かなんてこれまで全く気にも留めていなかったんですが、特典映像のメイキングを見ていたら、1910年という設定とのこと。そしてこの時代設定が、実はこの映画にとってたいへん重要なものだったことを、私は初めて気づいたのでした。(続く)
2005 02 11 [face the music] | permalink
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