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コーヒーテーブル・ブック

 
 以前このブログで『The New Yorker』誌のカートゥーン・アンソロジー本について触れたことがあったけれども("The Cartoon"〜The New Yorker 誌の80年(1)、(2)、(3)、(4)、(5))、『本の雑誌』の最新号(2005年4月・ちくわぶ半ひねり号)をパラパラと眺めていたら、おお、翻訳家の青山南さんも連載エッセイで取り上げておられるじゃないの。
 
 青山さんのエッセイは、昨年出た『The Complete Cartoons of The New Yorker』についてで、タイトルはたったひとこと「でっかすぎる」。あはは。
 確かにでっかすぎる本なんであります。私も「気軽に寝ころびながら楽しむというわけにはいかない」と書いたけれど、青山さんも、この本のデカさには閉口しておられるご様子。

重くて持てない。置いて読むしかない。まさに、「コーヒーテーブル・ブック」である。(34ページ)

 ふうん。こういう巨大本のことを、「コーヒーテーブル・ブック」って言うんだ。洒落た言い方だなあ。
 
 で、この本に掲載の作品内容について、私のブログではほとんど全部スルーしていたんだけれど(だってとてもじゃないが歯が立たないんだもの)、さすがは青山さん、そのいくつかを解説しておられます。といっても、1925年から5年分、たった5作品分だけではありますが。
 ありゃ、だめだ。5コ紹介しただけで、もう紙数が尽きた。まだ、創刊から5年しか、たってない。(35ページ)

 なぁんて書いておられますが、その「5コ」の紹介だけでも、まるで1920年代後半のマンハッタンが鮮やかに目に浮かぶようで、読ませます。うーん、やっぱ本の紹介ってこうでなくちゃ。
 
 ところで、「コーヒーテーブル・ブック coffeetable book」という言葉、私は青山さんのこのエッセイで初めて知ったんだけれど、英和辞書にもちゃんと「さし絵や写真が多い豪華な大型本」と出ているんですね。試みにネットで検索してみたら、出てくる出てくる。画集や写真集、美術全集なんかもここに含まれるのかと思ったら、どうもそうでもないような感じでもあるし、うーん、微妙によくわからない。
 けれど、気分としてはよくわかる。「休日の天気のよい昼下がり、お茶でも飲みながら眺めたい本」となると、小難しい専門書じゃ肩が凝るし、息もつかせぬサスペンスじゃお茶を飲むのを忘れてしまう。かといって雑誌じゃ軽すぎるし、ましてや明日の会議に必要な資料を読み込む、なんて悲しすぎる。アタマからシッポまで順序よく読み切る必要もなく、好きなときに好きなページだけパラパラと読み飛ばしてOK、そういう本が何冊かあると、確かにちょっぴりリッチそうですね。
 「仕事のため」とか「勉強のため」あるいは「純愛物語に泣きたいため」とか、ふだん「〜のため」にする読書が多い人ほど、こういう「単に眺めていいればいい本」を「単に眺めているだけ」の時間があってもいいのになあ、と思ったことでありました。
 
 ま、問題がひとつあるとすれば、こういう豪華な大型本って、収納場所にすごく困るんですけど。だいたい、こじゃれたカフェテーブルを置くスペースじたい、ウチにはないっての。ああ、この時点ですでにリッチじゃないや(笑)。

2005 03 21 [booklearning] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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comments

こんにちは。アチラのインテリア雑誌とかを読むと、コーヒーテーブル・ブックに最適ってな紹介をしてあって、読むモノじゃなくてインテリアの範疇に入るらしいっす。しかも自分用じゃなくて基本的にお客様用。うーむ、マーサ・スチュアートの世界ね。

posted: 漫棚通信 (2005/03/22 11:48:52)

コメントありがとうございます。
あ、なるほど、家具としての本なんですね。じゃ、ふた昔ほど前の日本で言うと、応接間のオーク調家具の中に鎮座まします「平凡社百科事典」か「世界文学全集」みたいなもの、と(笑)。
確かに、このNew Yorker本には総革製の豪華本仕様も出てますから、「お客様用」っていうのにはすごくナットクしました。

そういえば、これにはCD-Rも2枚付いてますが、それも要するに「飾り」の一部なのかも。なにせ、書籍本体からものすごく取り出しにくい上に、前にも書きましたが収録データの解像度が粗くてちょっと残念だったんですが、実用的である必要があまりないというか、そもそも本としての「用途が違う」ってこともあるのかも。
ああ、なんだかいろいろ腑に落ちまくりですぅ。

posted: とんがりやま (2005/03/22 12:17:44)

 

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