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飛び出しBoys・噫 無情

 

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 春の交通安全運動の季節である。ワタクシ別に警察官でも交通関係者でもないんだが、この季節になると、ある人々に思いを馳せるのである。そう、誰あろう飛び出し boys & girls である。

 ま、しかし、この飛び出しboysって仕事(仕事か?)もいろいろ大変そうなんである。毎日元気よく道路に向かって飛び出しているだけでは、どうもいけないらしいんである。ドライバーの目に留まってこその飛び出しboys。目立つ必要があるんである。
 で、中には「目立たせよう」とする意図があるのかないのかよくわからないけど、ついつい目に飛び込んでしまうboys & girlsもいるんである。目に飛び込んでくるって、そんなの飛び込んでくるのアンタだけだよ、ってツッコミもあるかとは思うが。ま、それはその、ええと、ほっといてくれ。

 てなわけで、2005年春の飛び出しboys & girls コレクション、Here We go!!

 

 
●クリーチャー篇
 

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[白いきょとん]

 褪色したんではなくて、上から白ペンキで塗り消したようにも見えるんだけれど、それならなぜ顔の黒い線だけが残っているのか、あるいはあとから書き加えたのか。どうもよくわからない。
 で、顔の下の方に規則正しく並んでいる黒い点々は、たぶん歯だと思われる。けれど、口の輪郭線が消えてしまっているので、無精ヒゲにしか見えないんである。かくして、コドモなのかオトナなのかオトコなのかオンナなのか、まったく正体不明の人物ができあがってしまったのである。正体不明というか前後不覚というか若気の至りというか。どっちにしろ、ああ怖い。
 

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[アルカイック・スマイル]

   写真ではカットしてしまったが、胴体の下の方はV字の反射板。顔の輪郭と肩の部分に反射テープを貼ってあり、夜道でもけっこう目立つようになっている。で、特に夜中に見るとこれが非常にブキミなんである。この写真ではイマイチわかりにくいと思うので、もう一枚。  

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 …目と口がくりぬかれているのである。フリーハンドの一発芸の割には、なんだか微妙に仕事がテイネイなのである。その結果、ブキミさがより際だってしまったのである。
 で、夜中にヘッドライトに照らされると、おおよそこんな感じに見えるのである。って、わざわざ夜中に撮影に行ったわけではなく、いわゆる「画面は合成です」ってヤツだけど。でも、やっぱ、怖いですぅ。

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  ●噫 無情篇
 

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[ガジガジ]

   なんだか微妙にヤな目に遭ってるのである。そういえば子供の頃、丸い煎餅をこういう風に食べて怒られなかったか? だもんで、コイツを見た瞬間、おいおい、もっとキレイにかじれよな、まったく。などと反射的に思ってしまったのである。しかし、誰がかじるんだ、こんなモノ。
   

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[撤収!]

  tobidashi10  微妙にヤな目といえばこいつもかわいそうである。要するにここは「ゴミ収集場」である。とすると、コイツはゴミとして捨てられてる最中なのか。いや、でもコイツは「新聞」でも「雑誌」でも「ウエス」でもましてや「アルミ缶」でもないぞ。ともかく、こんな場所に置かれても、コイツはけなげにも飛び出すことを止めようとしないのである。三つ子の魂百まで、なのである。
 …じっと眺めているうちに、「ゴミ捨て場から逃げ出そう」としているようにも見えてきたのだが、スチールの支柱とコンクリートの台座が、彼から自由を奪っているのである。それはそれで憐れすぎ。どっちにしろ、涙を誘ってしまうのである。
   

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[すぱぁぁぁぁぁああん]

 コレはまた見事な真っ向唐竹割である。ところで、背景に植え込みが見える。その植え込みの垂直線とキレイに重ね合わせるように撮影しようとしたんだけど、なんだかかえって状況がうまく伝わらない絵になってしまったので、わざと少し角度をズラして撮ったんである。そういうふうに、細かな気配りを必要とさせるほどの、コレは繊細な「作品」である。なにが作品だか。
 ま、それにしても、本来飛び出しているべき部分が「邪魔でぇ」とばかりにスパッと切断されていて、全然「飛び出してない」飛び出しgirlになってしまったのである。なんというか、自己の存在を全否定されてるような可哀想さではある。肝心のクルマからはおそらく一生気づいてもらえないだろう。そりゃ謙虚さも美徳だけどさぁ、こんなことではアンタこの先このショーバイやっていけないよ、とか心配になってくるのである。他人のリストラの心配している場合じゃないんだが。
   

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[死して屍拾う者なし]

   で、さらにさらに酷い目に遭ってるのがコイツである。近所の中学生にボコられたんだろうか。まさかバイクやクルマにブチ当てられたとは考えにくいんだが。
 
 この写真を撮って2週間ぐらいたったある日、右側の手の部分がなくなっていた。それでもしばらくは、もはやただの破片となった黄色い帽子の部分のみ、ビニールヒモにくくられたままで頑張っていたが、先日ふと気が付くと、一片の跡形もなく撤去されていたのである。まるで、もともとこの場所には誰もいなかったかのように。
 
 かくして、彼がこの世に存在していたことなど、あっという間に忘れ去られてしまうのである。ま、人生なんてフツーはそんなもんだな。——ともあれ、合掌 (┘人└)ナムナム。


2005 04 08 [funny face] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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