« 世界の国からこんにちは | 最新記事 | Mozaik:Live from the Takutaku »
Bulgarian Nature Sounds
愛知万博のブルガリア館で買ったCDのうちの一枚。会場では、試聴できるようにラジカセが置いてあったんだけど、これはジャケットを見た瞬間に衝動買いしてしまった。

上の写真でおわかりかどうか、段ボールを折ってケースにし、ラベル用に薄手の紙を巻き付けただけのシンプルなパッケージ・デザインが、いたく気に入ってしまったんであります。内ケースも同じつくりで、そこに裸のCDがはさんであるだけ。内ケースには、取り出しやすいように紐が附けられている(写真右端)。
●bulgarian nature sounds__idea virginia zaharieva
recorded by Johnny Penkov and Virginia Zaharieva
MK 11261(2002年)
CDの中身はタイトル通り。ブルガリア各地でフィールド録音された「自然音」が、一時間弱ぶん収録されている。
このCDには11のトラックがあることになっているが、「曲間」がなくシームレスに編集してある。その編集(ミキシング)のセンスがとても良い。
季節はおそらく、夏だろう。内ケースには収録場所名が記載されているものの、私の持っている程度の地図帳では見つけられなかった。が、オープニングはおそらく深い山の中だ。さまざまな鳥の声、きつつき、蜂や蠅の羽音が聞こえる。
全体の構成は、山の中(どうもロドピ山脈のうちのどこからしい)から始まって徐々に里に下り、川のせせらぎ、そして最後に黒海の波の音で終わる。途中、教会の朝の鐘が鳴ったり、羊飼いが叫んでいたりするなど、そこに人間が暮らしていることを示す音もインサートされる(ネタばらしっぽくなるけれど、エンディングにもひと工夫あり)が、あくまでも主役は自然界の音。
こういうCDには、タイムドメインのスピーカーはまさにうってつけではないか。目を瞑って聴いていると、広大なパースペクティブが実感できて気持ちいい。ブルガリアには行ったことがないけれど、ことさらはるか遠くの異国を思い浮かべる必要もない。私の場合は、子供のころ夏休みのたびに連れて行ってもらった、滋賀の山々を思い出していた。
で、ふだん音楽CDをかけているときにはさほど気にならないこちら側の雑音、つまりパソコンのハードディスクの回転音だとか、階下のドアの開閉音だとか、自動車やオートバイののエンジン音だとかが、意外なほど邪魔に感じられる。それと、今わたしが住んでいるところは郊外というか町はずれなので、聞こえてくる鳥の声や遠くで吠えている犬の声が、現実のものなのかCDなのか時々わからなくなってしまうのがなんだか愉快だ。
そんなに何度もくり返し聴くCDではないかもしれない。けれど、一時間のショート・トリップとして、面白い一枚ではあるだろう。収録された季節にあわせて、夏になったらもう一度聴いてみようかな。日本の蝉の声がやかましく鳴る中で楽しむブルガリアの音っていうのも、ちょっとオツかも。
2005 04 02 [living in tradition] | permalink
Tweet
「living in tradition」カテゴリの記事
- みんぱくで見世物(2016.10.02)
- はつもうで(2016.01.02)
- さよなら、丸善京都店。(2005.08.14)
- おかえり、丸善京都店。(2015.08.21)
- 突然の閉館「京の道資料館」(2008.03.28)