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[comics]:暴れん坊本屋さん

オトナになったら、図書館司書になりたかった。
中学生か高校生の頃だったか、あるとき家族に将来のことを訊かれてその話をしたところ、あまりウケがよくなかった。
「うーん、よく知らないけど、ああいうのってそんなに募集ないんじゃないの? 新しい図書館が毎年どんどんオープンしてるって話も聞かないし。みんないちど司書になったらなかなか辞めないから、就職先がないんじゃないかなあ」
で、図書館司書の夢はすぐにあきらめた(笑)。本当に就職が困難な職業だったのか、実際のところ確かめていないから、家族の説の真偽のほどは今もってサダカではないのだが。
しかし、我ながら司書っていうのがシブイと思う。子供の頃から本が好きだったのは間違いないが、それならフツー「本屋さんになりたい」とか言うでしょ。
きっと、「本屋さんはタイヘンだ」と、コドモながらに思ってたんだろう。
なにより、書店員は体力がいる。なにしろ本は重いのだ。ひるがえって私は体力ナッシングで、すぐに風邪を引いて寝込むような病弱なガキだったのだ。「本屋さんはタイヘンだ」のどこがどう「タイヘン」なのか、具体的なことはなにひとつ知らないまま、「オレって体力ないしなー」というその一点だけで、本屋さんになることは早々に見切りをつけたんだろうと思われる。
…しかし、なんてあきらめの早いガキなんだ、自分。
実際の司書の方々がどういう仕事をしているのか、実は今でも全く知らない。なにしろ図書館には年に一度行くか行かないかの生活で、縁がない。「借りたら返す」が面倒な性分もあって、滅多に行かないのだ(同様に、私はビデオレンタル店にも行かない)。ま、ここは子供のころの夢のまま、<図書館司書が世界でいちばんの職業である>と思いこんでおくことにしよう。
私にとって、図書館司書の実態は永遠の謎だが、本屋さんの実態に関してはこんなマンガがあったんですね。実はコレ、「本好きだったらゼッタイ面白いはず」と知人に教えてもらったので、いそいそと買いに走ったんである。
【写真上】
●暴れん坊本屋さん(1)
久世番子著/新書館刊/2005年10月初版
ISBN4-403-67019-9
※装丁者名記載なし
作者はマンガ家であると同時に、実際に書店員として働いているというから、「ギョーカイ裏話」を描くのにこれ以上の適任はない。しかし、マンガ家も書店員も、ともに同じくらいハードでヘビィな仕事だと思うんだけど、その二足のわらじっていうのは凄いなあ。

にもかかわらず、たとえば万引き問題や出版流通の問題、あるいはマナーの悪い客や、書名もロクにわからないまま「さっきテレビで紹介してた本どこ?」などと臆面もなく尋ねるバカ(その時間、店員は勤務中だっつーの)などは、20年前どころかおそらここ50年間くらい、ずーっと本屋さんを悩まし続けてきたに違いない。
そうだ、それに加えて、ここ数年は日々の新刊点数が膨大な数になっているっていうのもあったっけ。にもかかわらず、一部のベストセラーを除いてはほとんど売れてないとも聞く。また、都市圏のメガストアに客足をみんな吸収されてしまったおかげで、私鉄沿線の小さな駅前で細々と営業していたような、小さな本屋さんもずいぶん減ってしまった。雑誌は24時間営業のコンビニで間に合うし、近所にない本はネットで注文した方がはるかに早いしで、その存在価値が急激に落ちていったことが大きな理由だろう。
そんなこんなで、やっぱりどう考えても、本屋さんの仕事は昔に比べてますますタイヘンになっているはずである。
『暴れん坊本屋さん』は、本が大好き、本屋さんが大好き、という愛に満ちあふれたマンガである。マンガのネタはどれも作者の実体験がもとになっているとのことだが、同じ書店員なら誰もが共感できる内容ばかりだろう。私は本屋とも出版界とも全く関係のないただの一般人なので、ただただゲラゲラ笑って読んでいただけだが、関係者ならきっと身につまされるエピソードだらけなんだろうな。
もし子供の頃にこんなマンガを読んでいれば、「オトナになったら本屋さんになりたい」と思ったかな? 「やっぱり本屋さんはタイヘンだ」となってた可能性もあるけれども、「タイヘンだけど、でもちょっと面白そうかも」っていう気になっていたかもしれない。まあ、どっちにしろ、今から本屋さんを目指すにはちとトシを取りすぎてしまってるので、その分これからもせっせと好きな書店に通うことにしましょうかね。
2005 10 24 [booklearning] | permalink
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