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2005年拾遺

 今年もたくさんの素敵な人と出会うことができたし、たくさんの素晴らしい本や音楽やアートにも巡り会うことができた。その一端はこのウェブログにずっと書き続けてきたが、書き残し損ねたものも多い。ちゃんとしたエントリにしようと準備したものの結局チカラ及ばず途中で投げ出したものがほとんどなんだけど、今年を解雇、じゃなかった回顧する意味で、落ち穂拾いをしてみたい。どれも個人的に今年のベストもしくはそれに近いものばかりである。
 
【展覧会】

kokei

●小林古径展
 2005年6月7日〜7月18日/東京国立近代美術館
 2005年7月26日〜9月4日/京都国立近代美術館
 
 私が古径の回顧展を観るのは1983年以来だからじつに22年ぶり。当時はまだ日本画がさっぱりわからなかった頃で、勉強のつもりで手当たり次第に観ていたせいもあって、とくにこの人だけが強く印象に残るということはなかった。が、今回改めて観術館で静かに作品と向かい合ってみると、とても洒落ていて趣味がいい。
 小林古径は明治後期から昭和の前半に活躍した画家。ロマン主義全盛の大正時代を経過しているせいもあるのか、じつに詩情溢れる、かつ品のいい作品ばかりだと思う。暑い夏のさなかに見に行ったのだが、見終わったあとなんともさわやかな気分になったことを思い出す。まさに一服の清涼剤のような展覧会だった。
 
 
【本】
tea_isobuchi

●一杯の紅茶の世界史
 磯淵猛著/文春新書456/2005年8月刊
 ISBN4-16-660456-2
 
 お茶にまつわる本といえば、同じく新書本の『茶の世界史 緑茶の文化と紅茶の社会』(角山栄著/中公新書596/1980年12月初版/ISBN4-12-100596-1)を長く愛読していて、これ一冊あればもうお茶の本はいいかな、などと思っていたんだけど、なんのなんの。こと紅茶に話を限れば、こちらの方が格段に面白い。なにより、紅茶のルーツをもとめて著者自ら南アジア各地を回っているのがすばらしい。雲南省に樹齢1700年にも及ぶ茶の木が残っていたなんて、とてもびっくりだ。
 お茶は好きだけどとくに銘柄にこだわるほどでもないし、だいいち味の違いを云々できるほど舌が敏感でもないし、という方(私がまさにそうなんだが)のほうが、かえって面白がれるかもしれない一冊。読後、とびきり美味しい一杯を淹れたくなることうけあいであります。
 
 
【漫画】
boscs

●BOSC VOYAGE EN BOSCAVIE TOME1
 BOSC著/Raymond Devos序文/Le cherche midi/2003年11月刊
 ISBN2-74910-157-3
 
 まさかまさかの一冊。漫画といっても、私の興味の対象はもっぱら1950年代前後のカートゥーンだから、この本も(いわゆる)コミックスではない。
 この本を見つけたのは青山ブックセンターだが、書店員が書いたと思われる紹介コピーには「フランスの風刺画家BOSCのイラスト集」とあってちょっとがっくりきた。カートゥーンはもはや漫画とはみなされなくなってしまったのねえ(涙)。ま、分類ジャンルが何であろうとも、こうやって作品集が刊行されることの方が大事なんではあるんだが。
 数年前から、たとえば同じフランスのサヴィニャックのような、ミッドセンチュリーの頃の軽妙洒脱でユーモラスなイラストレーションは人気が高まっている。これはおそらく日本国内だけの傾向でもないんだろう。ボスクの作品集がフランスの出版社から新刊として発売されているというのは誠に嬉しい限り。とはいえ、ネット通販でも利用しない限り、以後の続刊の入手は困難を極めそうでもあるが。ちなみに、ボスクの公式サイトまでできている。こちらも比較的近年になって開設されたものと思われるが、とても楽しいつくりになっている。
 
 
【CD】
STORAS

●STÒRAS
 Mary Jane Lamond/turtlemusik, 2005/02-06363
 
 超名盤《Òrain Ghàidhlig》以来の筈だから、実に5年ぶりになるのかな。待望のニューアルバムだ。カナダはノヴァ・スコシア州、ケープ・ブルトンの誇る歌姫として、一段と風格が出てきたように思う。前作はピアノがひときわ印象的だったが、今回はアコースティック・ギターの音色が心地いい(ふつうに伴奏に徹しているだけではあるのだけれど)。
 
 
【DVD】
35e

●35e FESTIVAL INTERCELTIQUE DE LORIENT
 Keltia Musique, 2005/KMCD163
 
 こちらはフランス・ブルターニュもの。1971年に始まったロリアン・インターケルティック・フェスティヴァルの、35周年を記念して作られたディスク。【DVD】として紹介しているが、CDが本編で、DVDはボーナス・ディスクである。
 CDの方は別にフェスティバルのライブ録音でもなんでもなく、ここに出演したミュージシャンの既存のアルバムから寄せ集められた「ショウ・ケース」的な一枚。アイルランドだけじゃない、いま風のケルト音楽全般を楽しみたいなら最適のオムニバス盤とは言えるかもしれない。
 実は私は同フェスティバル25周年の時の、同じようなCDアルバムも持っているが、収録されている音楽が10年前にくらべていくぶん変わったように感じた。派手に、というか、明るくなった感じ。そのぶん軽くもなっているわけで、スタート当初には「汎ケルト」として一同に会し云々、といった政治的文化的な志が相当に高かったはずのこのフェスティバルも、かなり普通の「お祭り」化しているんだろうなと思わせる。
 で、おまけのDVDだが、祭のハイライトでもあるグランド・パレードの一部が収録されているのだ(このパレード映像自体は2002年のものらしいが)。地元ブルターニュはもとより、スコットランドやアイルランド、ガリシアやオーストリアなど、各地のパイプ・バンドの華やかなパレードが楽しめる。本編CDでは上述のようにフェスティバルの雰囲気そのものは味わえないだけに、これは嬉しかった。各地の素朴なフォーク・ダンスも楽しいもので、同じ「ケルト圏」とはいえそれぞれに特色があるのがよくわかる。
 このDVDには、CDにも収録されているミュージシャンたちのヴィデオクリップもいくつか入っている。これもとくにフェスティバルのライブ映像というわけではなさそうで肩すかしなんだが、1曲目の Yann Tiersen〈Le Train〉は洒落たアニメーションを使ったいかにもフレンチ・テイストなクリップで、ちょっぴりトクした気分でもあった。
 
 
【おまけ】
 
Halentino

 Oh! ハレンチ!(笑)…というわけで、今年のエントリはこれでおしまい。
 みなさまどうぞ良い新年をお迎えください。

2005 12 31 [booklearning, dance around, design conscious, face the music, funny face] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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