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250人の「春の祭典」

 
RhythmIsIt
 
●RHYTHM IS IT! ベルリン・フィルと子どもたち
 BIG TIME ENTERTAINMENT/レントラック・ジャパン REDV-00260/2005年9月発売
 
 
 『ベルリン・フィルと子どもたち』というドキュメンタリー映画の存在を、私はまったく知らなかったのだが、つい先日DVDショップで偶然見かけて興味をそそられた。
 
 もっとも、製品パッケージに書かれた説明文を読むだけで、ある程度中身は想像できる。こんな文章だ。全文引用する。

250人の“生意気たち”が、世界最高のオーケストラにダンスで挑む。
心ゆさぶる、まっすぐな感動。「歓喜」のドキュメンタリー!!

「音楽で、子どもたちの可能性を伸ばす手助けをしたい」—ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者サー・サイモン・ラトルの呼びかけで、クラシックを知らない子どもたちがベルリン・フィルの演奏で踊る<ダンス・プロジェクト>が始動した。6週間の特訓を経てトレプタウ・アリーナの本番に挑むのは、年齢や出身国の異なる総勢250人。最初はふざけてばかりでステップも踏めなかった彼らが、傑作バレエ《春の祭典》のリズムと一体となり、舞台の上で大きく成長を遂げてゆく—。
ドイツを、そして日本をさわやかな涙と笑顔で包んだ感動作が大迫力の5.1ch音声でDVD化。
2003年1月28日、真冬のベルリンを一晩だけ春に変えた“奇蹟の舞台”が蘇る!

 このコピーの下には「文部科学省選定(少年向・青年向・成人向・家庭向)」と「平成17年度児童福祉文化賞推薦作品(映像・メディア等部門)」のゴチック文字が続く。
 ——ぐずったり、ふざけたり、とまどうばかりだった子どもたちが、熱心な指導のもとだんだん一所懸命になりだし、練習に演習を重ねてついに本番で公演を成功させる…とまあ、そんなストーリーだろう。その途中には、どうしても思うように踊れないと泣き出す子どもがいたり、集団にとけ込めず孤立してしまう子もいたり、必死に練習したのに直前になってケガをしてしまう子どももいたりと、そういうハラハラドキドキなシーンもきっと挿入されていることだろう。でもって、映画の終わり頃には見ているこっちもすっかり子どもたちに感情移入して、公演の成功をわがことのように喜ぶのだ。
 
 ドキュメンタリーの王道っつうか、この手のモノは十中八九、そういう展開になる、はずだ。ショップの店頭でコピーを読んでるうち、私はすでにこの映画の7割ぐらいを観終わった気分になっていた。
 何につけ先入観を持つのはよくないことだろうが、まさかこの手のドキュメンタリー映画で「いつまで練習しても上手くならないので公演は中止、企画は大失敗しましたぁ。スタッフはみんなヤケ酒でぇす」なんてオチにはならないだろうしね。いや、それはそれで、ものすごぉく観てみたい気もするんだが(フェリーニだったか、マジメな練習風景がだんだんハチャメチャになってしまう『オーケストラ・リハーサル』って映画がありましたっけね)。
 
 それよりも、私はその「公演」そのものを観てみたいと思った。この作品はプロジェクトの首尾を追うドキュメンタリー映画だから、完成品であるステージの模様はおそらく断片しか観られないだろう。ならば特典映像で観られるかなと思って、このDVDの通常版を手にとってみたが、どうやら収録されてないようだ。ふと見ると、陳列棚の隣に2枚組の「コレクターズ・エディション」版(上の写真)が並んでいて、公演のノーカット版はそちらに収録されているという。
 
 げげ。き、きったねぇ。
 そっかぁ、そーゆー商売しますかぁ。
 
 で、しょうがないから買いましたよコレクターズ・エディション。だって、本番が観たいんだもん。どっちかっつーと、ワタクシ的には映画本編の方が特典映像(メイキング)って感じなんだもん。
 いや、もちろん、経験のない子どもたちがどういう風にダンスを覚えていくのか、そのプロセスにはものすごく興味がありますよ。この前「わたしたちのふつうの身体が踊る時代」とかなんとか書いてたことでもあるしね。でもその前に、この企画があくまで「公演」として一般に公開されたんなら、まずはその舞台をちゃんと見届ける方が先じゃないの。選ばれた250人の子どもたちもベルリン・フィルも、最初から「観客に見せるため」という前提で練習に取り組んでいたんだろうから、ならばこちらもひとつのダンス作品としてきちんと鑑賞するのが礼儀でしょ。舞台裏のプロセスを知ったり子どもたちに勝手な感情移入したりするのは、そのあとでいいんじゃないかなぁ。
 
 この映画を作った側も観る側も、さらに言えばそもそもベルリン・フィルのこのプロジェクト自体が、コンセプトとして「教育的な視点」に立っていると思うし(文部科学省の選定や児童福祉文化賞の推薦もそのあらわれでしょ)、それはそれで別に文句を言う筋合いではないのだが、だからといってなにも私までが教育者ヅラしてつきあわなければならない法はない。私は純粋にステージを楽しんでみたいのだ。
 
 で、実際に観た感想はまた今度。…続く(かも?)

2006 02 10 [dance around] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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comments

この映画がほそぼそと上映されたとき、「営業したら」と言われ
何かイヤな気分になったことを思い出しました。
趣味に近い仕事をするもんじゃないな…と思う瞬間です。

posted: ひで (2006/02/11 19:38:40)

新聞も雑誌もほとんど読まないので情報に疎いんですが、この映画はあまり評判にならなかったんでしょうかねえ。サイモン・ラトルの話とかはたくさん出てくるでしょうし、クラシック・ファンにはけっこう興味深いんじゃないかなぁとも思うんですが。
…と、今はオリンピック中継に忙しくてまだDVDを観てないワタクシでした(笑)。エントリの続編はいつかそのうち…。

posted: とんがりやま (2006/02/12 23:29:28)

 

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