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[DVD]:Värttinä Archive Live
●Värttinä ARCHIVE LIVE
82876855979/2006年6月
Distribution:Sony BMG Music Entertainment
DVD Copyright:Hoedown Oy
Production:Provisual Oy
PAL/Region 2/16:9/Dolby Digital Audio Format
Art Design:Sami Turunen
ヴァルティナのライブ映像を集めたDVD、できたてのほやほやであります。オフィシャル・サイトで注文したら一週間で届いた。早いなあ。
メインのコンテンツは2003年2月28日に首都ヘルシンキで行われたヴァルティナ結成20周年記念コンサート(全13曲、49分)だが、それと同じくらい、いやそれ以上に楽しいのが後半のアーカイヴ・ヴィデオ(全15曲)。かなり初期の頃のライヴ映像などもあって、非常に面白かった。
なにしろ、いちばん古い映像がなんと1985年なんである。まだ結成して2年目の頃であり、もちろんファーストアルバムもまだ出ていない。全員赤い民族風衣装をしっかり着込んで、いかにも少年少女民謡合奏団、といった風情だ。どこかの公園か、あるいは校庭(文化祭とか)なんだろうか、屋外でのミニ民謡コンサートの一風景といった感じである。メンバーはざっと数えたところ17、8人くらい。楽器はアコーディオン、フィドル、クラリネット、マンドリン(ブズーキ?)、ウッド・ベース、ウォッシュ・ボードにトライアングル。〈Karjalan Poikia〉という曲を演奏しているが、この曲はたぶんアルバムには未収録だと思う。DVDのクレジットではサリのアレンジとなっている。
つづく〈Tupa Täynnä Tuppasuita〉もおそらく初めて聴く楽曲で、1990年の収録。こちらは大きめの野外ライヴ会場で、メンバーはうんと整理され(フロント5名、バンド7〜8名?)、サックスやパーカッションも入って、現在にまで続くポップなバンドに生まれ変わっている。しかしフロントの女性陣はここでも白と赤の民族衣装風で、にもかかわらずバックバンドは長髪のロック兄ちゃん風(ギター、ブズーキ、ウッド・ベース、アコーディオン、フィドル、ソプラノ・サックス、パーカッション、ドラムスも?)といった、見た目とサウンドのギャップが面白い。
3枚目のアルバム《Oi Dai》の発表が1991年だから、90年当時のヴァルティナはいろんな意味で過渡期だったんだろう。民族衣装でノリノリのポップス、というギャップもそのひとつかもしれない。
DVDのアーカイヴには、同じ1990年に録られた〈Matalii Ja Mustii〉(アルバム《Oi Dai》に収録)も入っている。こちらはテレビのスタジオ・ライヴかな。ヴォーカル5名、バンド5名で、ヴァルティナ・スタイルはこの時点で完全にできあがったと見ていい。もう民族衣装ではなく、フロント陣はドレス、バック演奏部隊は黒スーツと、すっかり大人びた印象だ(といっても、まだまだ若造が背伸びしているって感じが初々しくも微笑ましい)。
…と、ひとつずつ書いていったらキリがない。このあとのヴァルティナはレコードセールスも伸び、世界各地でコンサートをたくさんこなし、ワールド・ミュージック・ブームの一角を担う活躍を見せるのだが、アーカイヴの方もそれにふさわしく、CDでおなじみの楽曲が増え、衣装もお洒落になるし、映像もよりスタイリッシュでよりポップな雰囲気になっていく。どれもそれなりに興味深いし面白いのだが、個人的にはやはり初期の頃のヴィデオが観られたのが非常にありがたかった。先にここを見てから20周年ライヴを眺めるのも、趣があってよろしいかと思う。
このDVDには、他にボーナストラックとして結成以来のオリジナル・メンバーであるマリ・カーシネン Mari Kaasinen とヤンネ・ラッパライネン Janne Lappalainen のインタビュー(英語字幕つき)、メンバーの詳細なプロフィール(テキスト)、ディスコグラフィ(曲目リストつき)、オーディオトラックが2曲などなど盛りだくさんである。ただのライヴ・ヴィデオとはひと味違う造りになっていて、オトク感でいっぱいだ。
【参考:当ブログでのヴァルティナ関係ディスク・レビュー記事一覧】
◆Värttinä聴きまくりっ!(1)
◆Värttinä聴きまくりっ!(2)
◆Värttinä聴きまくりっ!(3)
◆Värttinä聴きまくりっ!(4)
◆Värttinä聴きまくりっ!(5)
◆Värttinä聴きまくりっ!(6)
◆Värttinä聴きまくりっ!(7)
◆Värttinä聴きまくりっ!(8)
◆Värttinä聴きまくりっ!(9)
◆Värttinä聴きまくりっ!(10)
2006 06 21 [face the music] | permalink Tweet
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comments
はじめまして。
年末にヘルシンキで初めてCDを購入した、まだファン暦半年程度の新人です。ヴァルティナ関連の記事は以前から拝見させていただいておりました。今後ともよろしくお願いします。
今回の初DVD、なかなか良いですね。私も9日に気が付いて即注文したら、19日には届きました。
まだ、少しだけしか見ていませんが、アーカイブは本当に興味深いです。初期のアルバムは入手が難しく、先日ようやく1stが手に入ったばかりですので、その辺りのバンドの様子が画像で見られるのは初心者にはありがたいです。これだけのボリュームを考えるとかなりのお買い得だと私も思います。
全部見るには結構時間がかかりそうなので、週末にじっくりと見たいと思っています。今から楽しみです。
posted: josan (2006/06/21 2:02:36)
をー、これは買わねば。カネができたら、ですが(もうこればっか)。
こないだ、初期のアルバムをiTunesに入れながら聞きなおしましたが、やはり《OI DAI》《AITARA》の衝撃は薄れません。後期もそれなりに良いとは思いますが、この頃の、「風に乗った」勢いとそれが生む輝きは唯一無二でしょう。
posted: おおしま (2006/06/21 19:32:54)
コメントありがとうございます。
>josanさん
はじめまして。
>これだけのボリュームを考えるとかなりのお買い得
ですよね〜。あそこまで昔の映像が収録されているとは思ってもみなかったので、嬉しいサプライズでした。
アルバム…。輸入盤はともかく、解説や対訳が附いた国内盤の中古になると今のところ入手は難しいかもしれません。なにかの機会に復刻再発してくれると嬉しいんですけれども…。
>おおしまさん
>「風に乗った」勢いとそれが生む輝き
いい言葉ですねぇ。私もこの頃のヴァルティナが一番好きです。特に《aitara》は今でもしょっちゅう聴いています。
posted: とんがりやま (2006/06/22 13:09:34)