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ちょいと雑談風に(ジョン・クランコ他)

 
Poster 前回のエントリに「真夏のフィギュア」と題をつけたんですが、今年はまだ梅雨も明けず、それどころか豪雨が続いて各地で被害が出ています。冬は大雪、夏は大雨と、日本列島の降雨量がものすごいことになっていますね。今はまだ「異常気象」と呼ばれてますが、ひょっとすると21世紀はこんな気候が通常になっていくんでしょうか。ううむ。
 今日はワタクシ姫路方面に行ってたんですが、「行きはヨイヨイ帰りは怖い」じゃありませんが帰りにとんでもない土砂降りに遭遇してしまいました。電車が一時間に2本しかないところだったのでのんびり雨宿りというわけにもいかず、駅まで15分ほどの道のりを強行軍したはいいものの、道路がまるで川のよう。みるみるうちに足元がずぶずぶになってしまいました(T_T)。電車の中はクーラーがしっかり効いていて、おかげさまで風邪をひきそうな予感であります(涙)。
 
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 その姫路、正確には姫路市ではなくたつの市ですが、行ってきたのは『ひょうごインビテーショナル ジョン・クランコ・バレエ・スクール』という公演。1993年以来というから実に13年ぶりの再来日なんだそうです。
・7月20日(木)加古川市民会館
・7月23日(日)たつの市総合文化会館赤とんぼ文化ホール
・7月24日(月)吹田文化会館メイシアター
・7月25日(火)兵庫県立芸術文化センター
・7月26日(水)岸和田市立浪切ホール
Akatonbo (写真右は赤とんぼ文化ホール)これは、ドイツのシュトゥットガルト・バレエ団に付属する、1971年に創設されたバレエ学校の公演なんですが、いやあ面白かった。実は正直それほど期待もしていなかったんですが、予想以上に楽しめました(これで入場料3000円は大変オトク)。
 プログラムはクラシックとモダンがちょうど半分ずつ。前半は短めのダンスが4曲で、まずは「パキータ」からのパ・ド・トロアと「白鳥の湖」の第2幕のアダージョでクラシックを見せます。そのあと「陽に映える雪の如く」と「人形」というふたつのモダン作品が続きますが、この2曲がとてもよかった。
 「陽に映える〜」はタンゴにのせて男女ペアが時にユーモラスに、時に艶めかしく踊る作品ですが、とても人間的で意味深な内容でした。バレエ学校だから全員若いダンサーばかりだと思うんですが、しかしながら非常にオトナというか男女の性(さが)とでも言うんでしょうか、そういうどろりとした情感がよくあらわされていて、思わず引き込まれました(上のポスターに大きく出ているのはその一場面)。ふたりともよく伸びる素材のTシャツを着ているんですが、後ろから引っぱったり、ぎゅうぎゅうとねじってみたり、相方にすっぽりとかぶせたりと、とても効果的に使っていたのも印象に残ります。うう、これはもう一度見たいなあ。
 この学校には日本人も多数在籍しているようで、第一部ラストの作品「人形」では男女とも日本のダンサーが出演。さきほどの情念的なダンスとは打って変わって、人形振りといいますか、カクカクとした動きがたいへんうまく、面白い。日本人は生々しいセクシャルな表現は苦手かもしれませんが、こういうロボットみたいな(アニメ的な?)動作は得意なのかも。命を与えられたときの柔らかい動きと、電池切れを起こしたかのように急にガクンとなる動きのギャップの表現もお見事でした。
 休憩後の第二部は、まず女性陣15名がずらりと並んだ「グラズノーフ組曲」というクラシック作品(ポスターの左側の写真)。個々の見せ場もあり、なかなかの迫力。そしてラストは男性陣8名によるハードなダンス「トロイ・ゲーム」。パーカッションによる南米のリズムに乗せて、男たちが戦い、走り回り、踊りまくります。これは圧巻の一言でした。
 
 いやァ若いっていいなァ、などというとすっかりおぢさんの感想ですが(笑)、おそらくみなさん10代後半から20代のはじめくらいのダンサーばかりですよ。どの作品も、のびやかでよく動く肢体がまぶしいのなんの。ワタクシ腐女子ではありませんが(爆)、思わずうっとりしてしまいました。特に最後の作品「トロイ・ゲーム」は上半身裸でパンツいっちょうという衣装ですしね。若い肉体というのはそれだけでひとつの武器である、ということがよくわかりました。世阿弥の言う「時分の花」(風姿花伝)というのはこういうことか、と実感した次第。
 そういえば、ワタクシ双眼鏡を使って舞台をじっくり眺めていたんですが、どーも隣の席の女性から白い眼で見られていたように感じたのは気のせいでしょうか。いやいや、日常生活で若い子供を舐めるように眺め倒していたらタダの変態ですが、舞台上ではそれが許されるんであります。つーか、よく訓練された身体を観るというのも、ダンスの魅力のひとつですしね。
 とにかく、行ってよかった。公演はまだ残り3日ありますので、もしチャンスがある方はぜひどうぞ。
 
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 最後に、コマーシャルをひとつ。去る7月20日に発売された月刊誌『パセオ・フラメンコ』8月号に、拙文を掲載していただきました。先般日本公演が行われた、マリア・パヘス舞踊団の公演評です。
 

Paseo8

 
 店頭でちょっと立ち読み…なんて贅沢は言いません。ぜひお買い求めください(^_^)。なお、この来日時のマリア・パヘスへのインタビュー記事は、どうやら来月発売の9月号に掲載される模様です。

2006 07 23 [dance around] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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