« 夏休みだよ!飛び出しboys & girls | 最新記事 | 絵画からの視線〜プラド美術館展から »
[stage]:blast大リニューアル!

●blast II MIX:MUSIC IN X-TREME
Japan Tour 2006
松本公演 2006年7月21日〜23日 まつもと市民芸術館
大阪公演 2006年7月26日〜30日 大阪厚生年金会館 大ホール
名古屋公演 2006年8月4日〜6日 愛知県芸術劇場 大ホール
東京公演 2006年8月9日〜9月3日 東京国際フォーラム ホールC
福岡公演 2006年9月6日〜10日 福岡サンパレス
東京公演 2006年9月13日〜18日 東京国際フォーラム ホールC
西宮公演 2006年9月21日〜24日 兵庫県立芸術文化センター 大ホール
仙台公演 2006年9月27日〜10月1日 イズミティ21 大ホール
札幌公演 2006年10月4日〜8日 北海道厚生年金会館
新潟公演 2006年10月11日〜15日 新潟県民会館 大ホール
松山公演 2006年10月18日〜22日 松山市民会館 大ホール
広島公演 2006年10月25日〜28日 広島厚生年金会館
【公演プログラム】
アートディレクター:山本剛太郎
2003年の初来日以来、毎夏の恒例となった『ブラスト!』、4年目を迎えてバージョンが「2」に上がった。大リニューアルである。
昨年は残念ながら行けなかったが、03年と04年の公演を、私は観ている。事前に漏れ聞く情報から察するに今回のリニューアルは不安半分、期待半分だったんだけど、はてさて。
大阪公演の会場は、毎度おなじみ厚生年金会館。チケットぴあかイー・プラスで毎回予約しているんだけど、今回初めてハズレだった。なんだ2階席かよぉ。
過去の『ブラスト!』に行った方ならご存じだと思うが、途中で出演者が客席に散ってパフォーマンスする場面がある。これまでだと確か2階席にもミュージシャンが来ていたはずなんだけど、今回はそれがなく、客席を包み込むパフォーマンスは1階席のみで完結していた。2階席、3階席の住人はすっかり蚊帳の外なんである。なぁんか下の方で楽しそうにやってるよねぇと、きわめて冷静に眺めるしかないんである。ちくしょー。カネ返せぇ、とはいわないものの、せめて席種の配分はよく考えてもらいたいものだ(って、昨年行ったリヴァーダンスでも同じことを思ったが)。
あまりにもクヤシイので、実はワタクシ9月の西宮公演にも行くことにしたんであります(^_^;)。こちらはそこそこ納得できる席なので、今から楽しみ(建物自体も新しく、会場の雰囲気もかなり良いし)。
まぁそんなわけで、以下ちょいとネガな感想文になってしまいます。
何が変わったかというと、もう「全部」と言っていいくらいで、まず木管楽器が加わった。それもちょっとお邪魔してみましたぁ、という程度ではなく、全体的にかなりメイン扱いである。キーボードも多用しているし、ギターも一曲使われたりで、かつての「金管楽器とパーカッションの競演」というコンセプトは、今回完璧に覆されている。
それと、『ブラスト!』では「ビジュアル・アンサンブル」というネーミングだが、ダンス・パフォーマンスの比重が増えている。バトン・トワラーがかなり重要なポジションを占めていて、随所で華麗でアクロバティックなバトンさばきが披露されていた。
そのぶん、ブラス楽器の比重は低くなり、なによりパーカッションがほとんど前面に出なくなったのはかなり残念だ。あの「これでもか」といわんばかりの圧倒的な重量感が魅力だったのに。
そのパーカッションも、ええとアレってドラムシンセって言うんでしょうか、太鼓のひとつひとつに、たとえば「ガラスの割れる音」とか「ドアのきしむ音」を割り当て、ポンと叩くとギィ〜とかガシャーンとか音がする、というナンバーがあったんだけど、正直言って「余計なお世話」である。ブラストの魅力は、一にも二にも「生身の人間がカラダ張ってます」ってところにあると思っていたのに、スティックを振り上げたらギィ〜、ではなんだか拍子抜けしてしまう。それ以上に、演奏シーンを隠す場面が多く、これではテープなのか本当に演奏しているのか全くわからず、いわゆる「ライヴ感覚」が半減してしまっている。
使用楽曲もまったく入れ替わっている。当然パフォーマンスもほぼ全て新しいものになっており、旧作の匂いを感じられるシーンはごくわずかだ。
よくもここまで「壊した」な、と感心もするが、しかしこれは賛否が分かれるところでもあるだろう。ここまで変えなければ「2」を名乗る意味がない、という製作者側の心意気はよくわかるんだけれども…ねぇ。
私が残念に思ったのは、先にも書いたがステージから人間臭さが少なくなった点であり、シンプルだが力強かった以前に比べ、凝ってはいるもののそれが時としてうるさく感じられた点である。たとえばダンサーはほとんど全部に出ずっぱりで、その結果、音楽のみをじっくり聴かせるナンバーがなくなってしまった。よりショウアップされたと言えば聞こえはいいが、しかしそれは照明効果を含む視覚的なレヴェルにとどまり、聴覚や体感(音圧やパーカッション群の圧倒感)はあまり刺激されない。一昨年の公演を見たときに私は「五感が踊り、生命が歓ぶ」と書いたけれども、そういう全身体的な快感は、今回の公演からはほとんど感じ取れなかった(もういちど書くけれども、これは私が座っていた席の都合にもよる。1階席だとまた違う印象だったはずだ)。
ひとことで言って「懲りすぎ」である。それも、「おお、そこまでやるかぁ」というのではなく、「そこまでしなくていいのに…」という凝り方、だと思った。
金管+打楽器だけだった前回までではあまりひっかからなかったんだが、ミュージシャンを動かしすぎではないか、というのも今回は気になった。特にフルートやクラリネットなどの木管パートは、踊ったあとすぐに演奏では息を整えるのも大変なはず。まぁ、そのへんはさすがに鍛え方が違うので(出演者のみなさん体格のいいこと!)、それこそ余計なお世話なんだろうけど。
スパニッシュ・ギターもなんだかなぁという程度で(なにせ楽曲が「アランフェス」だし、期待しちゃうじゃないの)、とくにギターを前に持ってくる必要性は感じられなかったし、コーラス(人間の声)がフィーチャーされることへの感動も前回ほどではなかった。
それでも後半、第二部の半ば過ぎあたりからの盛り上がりはやはり流石というもので、ディジリドゥは今回も目立っていたし、個人技も豊富にあって(中でも「熊ん蜂の飛行」は鳥肌ものでした)、パフォーマーたちのレヴェルの高さは疑いようがない。お約束の「幕間のパフォーマンス」もノリノリだったし、それなりに楽しめた2時間だった、とは言えると思う。
ビジュアル・アンサンブルのひとりが手具をよく落としていて、途中で気がついたんだけど片足を少し引きずっていた。コンディションが相当悪かったようだ。ジャパン・ツアーはまだ始まったばかりだが、どうか無事に公演を全うできることを祈りたい。2ヵ月後の再会が素晴らしいものになりますように…と、これはきわめて個人的なお願い。
2006 07 30 [face the music] | permalink
Tweet
「face the music」カテゴリの記事
- ブルガリアン・ヴォイスにくらくら(2018.01.28)
- 55年目のThe Chieftains(2017.11.25)
- blast meets disney!(2016.09.11)
- ホールに響く聲明(2014.11.01)
- YYSB2014『展覧会の絵』『新世界より』(2014.06.29)
comments
Blast2はもともとロンドンかどこかでやってた時は、
「Cyber Jam」というネーミングでした。
いつのまにか名前が変わったみたいです。
CyberのJamですからねぇ・・・。
posted: カトレア (2006/07/31 1:46:54)
コメントありがとうございます。
なるほど、確かに「サイバー」な感じいっぱいでした。
しかしまあ、ロングランさせるというのはどのショウでも大変ですよねぇ。何年も変わりばえしなかったらマンネリで飽きられるし、変えたら変えたで「前の方が良かった」と言う客が必ずいるし(笑)。『ブラスト』もこの先どうなっていくのか、興味津々ではあります。
posted: とんがりやま (2006/07/31 20:51:46)