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COFEの謎
日本語では、しばしば長い名詞を短縮してしまう。「リストラクチャリング(Restructuring)」が「リストラ」になったり、「コンサヴァティヴ(conservative)」が「コンサバ」になったりするなど、外来語にとくに顕著だ。
人名でも短縮して愛称化させることは多い。「勝新太郎」は「勝新」となり、「木村拓哉」は「キムタク」になる。
他の土地に暮らしたことがない私が言うのも説得力がないが、関西、とくに大阪の略し方は一種独特のような気もする。ファストフードの「マクドナルド」が「マクド」、同じく「ミスタードーナツ」は「ミスド」であり、「モスバーガー」は「モスバ」だ。法則性があるようでないようで、でもやっぱりあるのかな。よくわからない。
今ではあまり見かけなくなったが、喫茶店のメニューで「アイスコーヒー」を指して「レーコ」と注文する人がいる。もちろん人の名前ではなく、「冷コ」すなわち「冷たいコーヒー」のことだ。これが暖かいコーヒーの場合だと、メニューには「コーヒ」と書いてあったりする。音引きの一文字くらい、別に略さなくったってどうってことはないと思うのだが、「モスバーガー」が「モス」ではなく「モスバ」になるのと同様、「どうしても三文字にしてやる」という強い意志が感じられるような気がしないでもないと思われる、かもしれない。
カタカナはまだ日本語の範囲内だから好きなように略せばいいと思うのだけど、ではこういうのはどうなんだろう。
こふぇ。
「COFFEE」のつもりなんだろうなというのはすぐわかるんだけど、いやそれにしても。
これが看板屋のミスでないのは、店内にも同じロゴが大きく飾られていることからもはっきりしている。それとも何だろうか、「一文字あたりいくら」の計算で看板を製作するので、店主ができるだけ経費を浮かそうと考えてのことなんだろうか。まさかね。
辞書を見ると、「コーヒー」はオランダ語表記では「KOFFIE」、ドイツでは「KAFFEE」、英語で「COFFEE」、フランス語だと「CAFÉ」、イタリア語では「CAFFÉ」…などとなっているはずだ。最初の一文字に「C」系列と「K」系列があるのが興味深いが、今はそれは措く。いったい「COFE」なる表記は何語やねん、というのが、目下の私の最大のギモンなんである。
試みに、Googleをつかって「cofe」を検索してみるとこう出る。
cofe の検索結果のうち 日本語のページ 約 15,300 件中 1 - 10 件目 (0.18 秒)
ウェブ全体からだと「 約 2,140,000 件」。ただし、その中でコーヒーに関連している項目はほとんどない。「ウェブ全体」でトップに出るのは CofE、すなわちChurch of Englandである。
対して日本語ページの検索だと、喫茶店関係のページがごろごろ出てくる。たぶん「カフェ」のつもりで使っているんだろうなあと思うのだが、しかしこうも揃って皆がみなスペルミスを犯すとも考えにくい。スタバ(あ、これも略語だ)以降の、ちょいと洒落たスタイルの喫茶店ができるまでは「CAFÉ(あるいはCAFE)」と書いても誰も読んでくれなかったのかもしれず、喫茶店業界では「COFE」という書き方がごく一般的に流布していたのかもしれない。
というわけで、「COFE」という語は和製外来語の一種である、というのが今のところの私の結論なんだけど、ホントのところはどうなんだろう。ひょっとして「COLOUR」と「COLOR」みたいに、英語と米語の違い、とかなんだろうか。どなたか真相をご存じの方はおられませんか。
2006 08 19 [funny face] | permalink Tweet
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