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Konono@ラブリーホール、第一夜

 
Lovely_hall_01 毎年恒例の「かわちながの世界民族音楽祭」、個人的には久々の参加であります。今年は9月2日と3日の2日間、初来日中のKonono No.1をメインに多彩な出演者が集まる。
 河内長野へ行くには、京都からだと電車をいくつも乗り継がなければならなくてちょっと面倒くさいのだが、クルマだと国道1号線と国道170号線をひたすら走るだけ。天気も良いのでバイクで行くことにした。そこそこ渋滞もあったけど約2時間で到着、思ったより近いなぁ。もっとも、電車でも(乗り継ぎさえ上手くいけば)所要時間はほぼ同じくらいなんだけど。
 
Lovely_hall_02 この音楽祭にあわせて、会場前では屋台がいくつも並び、ちょっとした縁日気分を演出していた。しまった、ここでお昼ご飯にすりゃよかったかな。
 会場は河内長野市文化会館ラブリーホールというところで、地下のギャラリーではアフリカの写真展などもやっている。初日は写真家・森本真哉さんのトークショーもあった。この方は、単身・自転車一台で半年間をかけてアフリカ大陸を横断した人だ。そのときのマウンテン・バイクも飾ってあったが(写真左下)、あまりの悪路続きでしょっちゅうパンクや故障に悩まされたそうだ。
 
Lovely_hall_03 そうこうしているうちにホールが開場。17時の開演まで少し間があるが早めに席に着いて座っていると、舞台にMusical Saw(のこぎり)を手にした女性が5人やってきて、静かに音を出し始める。そのうちひとり、またひとりとミュージシャンがあらわれ、開演時間の頃にはすっかりバンド・サウンドに。“日本のこぎり音楽協会関西支部長”サキタハヂメ(はじめにきよしのギター&ノコの人ですね)率いる、鉄の楽団アイアンズのスタートはこんなふうにして始まった。
 このバンドはその名の通り「鉄」っぽい。「テツ」といっても鉄道オタクのことではなく、のこぎりをはじめジューズ・ハープ、スチールドラム、ホルンやトロンボーン、トランペットといった金管楽器、ギター(ドブロなのがまた心憎い)マリンバ、シンバルや鉄板など各種パーカッションを含む総勢13人のメタル楽器ユニットなのだ。メンバー紹介の時にサキタさんから「名前で選びました(笑)」と言われていた心さんもこのバンドに参加していたんだけれど、その金子さんの担当楽器がサックス(分類上は木管だったはず)とプラスティック製のティン・ホイッスルだったのはご愛敬かも(^_^;)。その金子さんによるメチャ速アイリッシュ・リールも飛び出した、摩訶フシギかつきわめて日本的な無国籍サウンドでありました。
 お次は雰囲気ががらりと変わって、倭太鼓 飛龍の登場。かわちながの音楽祭へは3度目の出演だそうだ。こちらは大太鼓や締太鼓、鉦や銅鑼、そして三味線や能管も交えた和楽器(チャンゴみたいな韓国系もあった気が)をフルに使った迫力ある演奏だった。うーん、和太鼓は腹に響くなあ。
 
 
 休憩をはさんで、サカキマンゴーLimba Train Sound Systemの登場。ダブのスペイシーなサウンドにのって、ラブリーホールがたちまちクラブ空間になる。実はこの8月、5回にわたってサカキマンゴー氏によるリンバ(親指ピアノ)のワークショップがラブリーホールで行われていたそうで、小学生から大人まで参加者計17人が舞台に上がって一緒に演奏するという微笑ましい一幕も見られた。
 
 すでにここまででかなり満腹気味なのだが、メイン・ディッシュのKonono No.1はさらにこのあと。ずっと座って聴いていた観客を立たせてから、いよいよメンバーが登場する。
 正確に時間を計ったわけではないがおよそ40分間くらいだったかな、一曲を(というかメドレーかもしれないのだがわからん)ノンストップで演奏して終了。「え、もうおしまい!?」当然アンコールの手拍子鳴りやまずで、舞台上に和太鼓を運び入れ、コノノ+飛龍のセッションで約10分。開演から3時間余り、かわちながの世界民族音楽祭の第一夜はここで打ち止めと相成った。
 
 
 《天然轟音人力トランス軍団》《前代未聞の爆裂グルーヴ》(いずれも公演チラシの惹句より)や、何人かの方のブログで東京公演のレポートを読んでいたので、もっと耳やかましい強烈なサウンドを予想していたのだけど、かわちながの初日のコノノは意外なほど静かだった。
 このバンドは親指ピアノにピックアップ・マイクを取り付けギターアンプでめいっぱい増幅させたり、拡声器を改造したスピーカーを使ったりと、独特のひずみのある音が特徴なのだけど、妙な言い方かもしれないが実に“アコースティック”な音だと思った。要するに、そのままでは小さな音しか出せない親指ピアノをどうにかしてデカイ音で鳴らしたい、その一心でつくりあげられた音響だから、考え方として実にシンプルでストレートなのだ。
 直前に、精巧にプログラミングされたLimba Train Sound Systemのサウンドを聴いていたから、余計にそのシンプルさが際だって感じられたのかもしれない。けれどもそのかわり、コノノの生み出すグルーヴはおっそろしく濃厚だった。
 このあたりは、短時間のあいだにいろんなタイプのバンドが聴ける音楽祭ならではの感想かもしれない。そう思ってあらためて本日の出演バンドを思い浮かべてみると、ずばり腰に直撃、というサウンドは、そういえばなかったような気がする。むろん善し悪しを言っているのではなく、単に傾向の違いにすぎないのだけど、日本風の「民族音楽」はどうもアタマから入ってくる音楽のように思えたのだ。
 先に「和太鼓は腹に響く」と書いたが、確かに腹には響くがそこまで。翻って、コノノのリズムは「腰にクる」。もっと言えば、骨盤に直接効いているような気がする。「肉を切らせて骨を断つ」じゃないけれど、骨にじんじん響いてくるコノノのサウンドは、なんとも面白い体験だった。
 アフリカ大陸のダンス(とひとまとめに括ってしまってよいのかどうかわからないが)は基本的に腰で踊るものだという印象を持っているんだけど、コノノの音楽はまさにそれだと思った。音楽がはじまった瞬間、まず腰が反応する。それからじわじわと全身を巡っていき、脳に達する頃にはすっかりトランス状態になっている、という感じ。決して“轟音”“爆裂”などという語から連想されるような「耳をつんざく」とか「脳天を直撃」するものではない。しかし身体の内部から効き始めて全身をくまなく駆け回るので、気がつけばすっかりそのサウンドの虜になっている、という次第。

 
 オールスタンディング状態になっているので、音楽に合わせてみんな好き勝手に踊っている。タテノリジャンプする人、肩をゆらゆらさせている人からじっと腕組みして立ちつくしている人まで十人十色だったが、この音楽だとやはり腰を動かすのがいちばんしっくりくる気がした。ふだん便秘に悩んでいる人なら、コノノで一晩踊れば翌日にはすっきりお通じが来るかも…というのは冗談だけど、なんだかそういう自然食系というかナチュラルな効用が、彼らの音楽にはあるんじゃないかと思う。
 
 音楽祭の第二夜は、渋さ知らズが共演するダンス・ナイトだ。コノノのサウンドも、おそらく今日とはまた違うものになることだろう。加えて終演後には、通し券を買った人だけの特典として、出演者全員によるアフター・パーティもある(こちらは前売り完売とのこと)。たぶん2日目は、最初から最後までずっと立ちっぱなし踊りっぱなしになるんじゃないかな。どんな夜になるのか、非常に楽しみであります。
 

2006 09 03 [face the music] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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comments

どうしてある種のビート(リズム)は腰にくるのか、
どうして腰にくるのと他の場所にくるのとがあるのか、
考えてみればじつに謎ですね。なぜ腰なのか?
明日のレポートも楽しみにしてます。

posted: beeswing (2006/09/03 4:27:02)

僕も昨日河内長野に行ったんですよ。太鼓の方は完全和風ではないと思ってましたが。倭太鼓飛龍のリーダーの方がサムルノリとか言ってたので、やっぱり和太鼓オンリーではなかったんですね。この手のライブはとにかく体が自然に動いてしまいますね。2日目のレポートも楽しみにしております。

posted: えいすけ (2006/09/03 22:42:02)

 さきほど第二夜から帰還しました。あーまだ耳鳴りが。

>beeswingさん
 なかなか難しい命題ですねえ。今日はそこらへんも気にしつつ見ておりましたが、はっきり言ってわかりません(^^;)

>えいすけさん
 サムルノリと同じ奏法をしている楽器が少なくとも2種、もしかするともう少しあったかも。ただ、楽器自体がどうこうよりも、やはり叩き出すリズムそのものがどれも「純粋な和風」とは違っていたように思えるんです。具体的にどの部分がとか、そもそも完全和風って何だ?とか、いろいろ考えるべき点も多いので、あまり断定的に言っちゃうのもアレなんですが。
 別にエントリを立ててちゃんとレビューした方がいいかもですが、いわゆる「和風太鼓集団」を考える上で興味深い本があります。
●日本の太鼓、アジアの太鼓
 山本宏子著/青弓社/2002年6月刊
 ISBN4-7872-7154-7
 図書館でみかけたら手に取ってみてください。

 2日目のレポですが、えーと、アップできるのはひょっとすると数日後になってしまうかもしれません。とりあえず今夜はもうダウン、寝ますぅ(-_-)。

posted: とんがりやま (2006/09/03 23:32:03)

 

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