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マハロと音舞台と

 
 なんだかイベントが目白押しで、週末ごとにあちこち遊び歩いている。うーん、いいんでしょうかこんなお気楽な毎日で。9月9日(土)にはふたつのイベントを掛け持ちで観に行っていた。
 ところで結局、今年の夏は短かった気がする。8月に入って急に暑くなったと思ったら、月の後半はもう朝晩が過ごしやすくなって、本当に寝苦しかったのは実質2週間程度だったんじゃなかろうか。
 そんななか、この日は久しぶりに朝から蒸し暑かった。じっとしていても汗がじんわりにじんでくる。予報ではしかし所によりにわか雨か雷雨で、いつなんどきざっと降られるかわかったものではない。余談ながら、最近の「所により」は文字通り「所に」よっていて、ピンポイントで降られたり降られなかったりするので、油断がならない。こういうのも温暖化のせいなんでしょうかねぇ。
 
 話を戻して。

Hula

 この日、京都駅構内の大階段では《Mahalo ia Hawaii Festival 2006》というイベントが行われていた。京都(含む滋賀)の、ハワイアン・フラの教室の生徒さんが大挙して出演する、観覧無料のコンサートだ。京都でもいつのまにこんなに、と思うくらいフラが盛んで、このイベントは午前11時にスタートし、ノンストップでなんと夜の8時間半までやるのである。フラ人口の多さと層の厚さにびっくりする。データを持っているわけではないのでただの当てずっぽうだけど、今もっとも人気のある「ダンスのお稽古」は、“大人のバレエ”や“フラメンコ”などと並んでフラも五本指、いやもしかすると三本指に入るんじゃないだろうか。
 ダンサーに知り合いがいるわけではない。昨年このブログでも触れたことのある Slack-Key MARTY♪ さんがギターとヴォーカルで出演するというので駆けつけた次第。
 出演ダンサー(というより教室)ごとに違いがあるのか、音源をCDでやる組と、生演奏を起用するグループがあって、マーティさんのバンドもフラの演奏のための出演だ。
 しかし、やはりCD音源と生演奏では、全然印象が違う。京都駅の大階段はしょっちゅういろんなイベントで使われる広場だが、基本的には通路みたいなもので、当然イベント目当てではない、たまたま通りがかった人もおおぜいいるのだが、録音だと「ああ、なにかやってるな」という感じですっと通り過ぎるのだけど、生演奏付きだとわざわざ立ち止まって観る人が結構多かった。バンドはステージ後方にいるのでそんなに目立つわけでもないはずなんだが、やはり音の違いは誰にでもすぐにわかるのだろう(PAもとてもバランスが良く、聞きやすかった)。
 
Hito_oosugi 総数何名なのか見当もつかないほど出演者も多かったが、観客もかなり多い。といっても最初から最後までずっと見続けたという猛者がいたのかどうかは不明だけど(むしろ運営スタッフの方が大変そう)、私が聴いていた時間帯はすごい盛況振りだった。そのうち出演者の家族や友人がかなりの割合を占めていたのだろうけど、いやはやご苦労様です。
 
 最初にも書いたけど、湿度も気温も高かったこの日、しかし雷注意報も出ていたそうで、曇りがちの天気ではあった。ときどき一粒ふたつぶ、水滴を感じた時もあった。
 けれども、ただの偶然なのかどうなのか、CD演奏でのチームのフラが終わって、マーティバンドが登場し、歌い出すと急に太陽が差してきたのは不思議だった。ステージはまっすぐ西を向いているので、午後の陽差しがまともに出演者にかかる。まるでスポットライトのように、太陽光がバンドを照らし、キラキラと輝いてとてもきれいだった。もっともあとで聞いた話では、直射日光がまぶしいやら汗は玉のように噴き出すやらで、演奏は大変だったようだけど。マーティバンドの出演が終わって、録音音源を使用する次のフラチームが出る頃には、いつの間にかまた空が曇っていた。なんだか非常に得難い経験をしたのかもしれない。
 伝統的なハワイ本来のフラはそれぞれの動きにすべて意味があり、指先の微細な動きひとつにまで、謡われる歌詞と密接な関係にあるという。歌の内容を理解していなければただの「アテ振り」になってしまうから、どんな内容の歌なのか知っているのといないのでは、演奏も踊りも天地ほどの差が出てしまう世界なんだそうだ。そういう種類の音楽でありダンスだからこそ、イベント自体、天候の移り変わりが肌で感じられる野外で行われるのだろう。京都駅の建物は非常に無機質なのだけど、この空間だけ、なにか別世界のようだった。
 
 
 最後まで観たかったんだけど次があるのでそうもいかず、途中で移動する。京都からJR奈良線で一駅目にある東福寺での、こちらも無料のイベント《JAL 東福寺音舞台》を観るのだ。
 
Tofukuji_otobutai

●JAL 東福寺音舞台
 主催=京都仏教会・東福寺・毎日放送
 提供=日本航空
 構成・演出=下山啓
 
 印刷物制作=森敏行(クリシュナ)
 
 5時半からと8時からの2回公演のうち、夜の部の方に当選した。何度も応募しているわりに今回が初当選なので嬉しいのだが、届いたチケットには「立見席」というハンコが押されていた。うーむ。まあ無料なんだし、立ち見でもなんでもいいや。
 会場に着くと、京都駅に負けず劣らずこちらも大勢の人、人、人。その熱気で、ただでさえ蒸し暑いのにさらに湿度と温度が上がりそうだ。
 立ちっぱなしを覚悟していたのだが、係員の話によると、先着順でどうやらイス席に座れるらしい。ただし見えにくい場所だったりするのはご了承くださいだと。まあなんでもいいや、と指定された席に行くと、メインステージ下手側のほとんど真横だった。
 このイベントはテレビ放映もするので(10月1日(日) 深夜0:30〜1:24/MBS・TBS系5局ネット(MBS・TBS・HBC・CBC・RKB))、テレビカメラが何台も入っているのだが、私の座った場所のすぐ右横にもクレーンカメラが一台。そのカメラにモニタがあるので、なんと、放送用の映像がよく見えるのだ。
 さらに、目の前のステージからふと上空を見やると、満月ではないもののほとんどまぁるいお月様。雲の多い空模様なので時折しか顔を覗かせないが、なんというか、シチュエーションとしては実に申し分ない(しかも出口に近い席なので、帰りに混雑に巻き込まれなくて済んだというオマケまであった)。どうせ立ち見だからうんと後ろの方から豆粒のようなステージをのぞき込んで、というのを予想していただけに、それに比べると破格の待遇(笑)である。あー、来て良かったぁ。
 
 ステージはとてもコンパクトにパッケージされた、2時間足らずのウェルメイドなショウだった。セッティングのためのほんのわずかな待ち時間をCMに当てれば、そのまま生中継だってできるんじゃないかというくらい手際の良い進行だ。さすが19回も続いているイベントだけのことはある。
 斉藤由貴による金子みすゞの詩の朗読を口切りに、和楽器オーケストラあいおい、マルコ・ベルティ+パルマ・オペラ・アンサンブル、呉汝俊、中国障害者芸術団、そして服部克久が指揮するオーケストラ演奏にのって平原綾香が大トリという流れ。呉汝俊の終わり頃あたりからだったか、気がつけば雲もほとんどどこかへ流れてしまい、夜空にぽっかりと、月だけが浮かんでいる。昼といい夜といい、良い音楽は天候をも左右してしまうんだろうか。なんだか今日はすごく不思議な一日だ。それに、大勢の観客なので暑いはずが、私の席には夜風も静かにそよいで、とても涼しかった。
 
 【踊る阿呆を、観る阿呆。】的には、やはり特筆すべきは中国障害者芸術団演じるところの《千手観音》だろう。先にも書いたように、私の席はステージに対しほぼ真横。すぐとなりのテレビカメラのモニタからは正面からみた放映用の映像が見えるので、一挙に2方向から観ることができる。ひとつぶで二度美味しい、またとない機会だった。
 実際、このダンス作品を正面以外から観られるチャンスはそうそうあるものではない。約20名のダンサーが一列に並び、順番に腕を出していくところなど、それぞれの腕の角度や出すタイミングなど、横から見ていても実にスリリングだった。
 テレビには一切映らないのだが、実はステージ上には、彼らダンサーを指揮する役割の女性が左右に2名いる。彼女たちの動きもそれ自身が舞踊作品のようで非常に面白かった。いやぁしかし、ネットで映像はみていたものの、やはり生で観ると鳥肌ものであります。今思い出してもぞくぞくしてしまう。
 
 
 ステージが終わって、本格的な退出がはじまるほんの少し前に会場を出、JR東福寺駅で電車を待っていると、狭い駅に続々と観客がやってくる。会場では秋らしい涼しげな風が吹いていたのに、ここではまたもや晩夏の熱気でじっとりと汗がにじみ出てくる。途端に現実世界に引き戻されたような、ついさっきまでのあの美しくも荘厳な時間はただの夢まぼろしだったような、そんな気分になる。
 
 いや、そうではない証拠に、ホームから夜空を見上げると、はるか上空にまぁるい月が蒼く輝いている。
 

2006 09 10 [dance around, face the music] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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