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[live]:Gjetord
ノルウェーからやってきた5人組、Gjetord(イェートール)のライヴを聴いてきました(2006年12月9日/CHAKRAにて)。
Gjetord
エレン・マリエ・タンゲン Ellen Marie Tangen: うた,口琴
マグンヒル・ベルゲ Magnhild Berge: うた
ハリエット・ヘレネ・フェルドハイム Harriet Helene Fjeldheim: うた
セーラ・ナイジェル Sarah Nagell: うた, フェーレ fele, ハーディングフェーレ hardingfele
樫原聡子: フェーレ fele, ハーディングフェーレ hardingfele, うた
エレン・マリエ・タンゲン Ellen Marie Tangen: うた,口琴
マグンヒル・ベルゲ Magnhild Berge: うた
ハリエット・ヘレネ・フェルドハイム Harriet Helene Fjeldheim: うた
セーラ・ナイジェル Sarah Nagell: うた, フェーレ fele, ハーディングフェーレ hardingfele
樫原聡子: フェーレ fele, ハーディングフェーレ hardingfele, うた
ゲスト:山口智:guitar
メンバーのひとりでもある樫原さんの演奏を聴くのは久しぶりなので(参照/踊る阿呆を観る阿呆。: 春を告げるハーディングフェーレの音色/2005年3月)、いそいそと出かけていきました。期待通りハーディングフェーレ/フェーレの音色にもたっぷり浸ることができたんですが、今回はそれ以上に、「うた」に感動しました。
メイン・ヴォーカルの3人の声がとにかくすばらしい。会場はもちろんノーマイク・ノーPAで、たまたまステージにいちばん近い席に座っていたこともあって声がまっすぐ耳にとびこんできます。いや、耳にだけ、ではないな。身体のずっと奥底の芯の方にまで、彼女たちのハーモニーが届いていたような気がしました。ひとの声ってこんなに豊かな音色なんだ、こんなに表情のあるものなんだということを改めて感じたものでした。よくある言い方になるかもしれませんが、目をつぶって聴いているとじんわり涙が出そうになりました。そういえば、器楽演奏はともかくも、最近「生うた」をじっくり聴いたことがなかったもんなあ。
動物や隣山(隣家じゃなくて)の人に呼びかけるときに使うという呼び声「ロック lokk」に始まり、3人による無伴奏コーラスあり、それぞれのソロあり、楽器組も交えて5人全員のハーモニーありとバラエティに富んでいて、それぞれ違った色彩を楽しむことができました。
グループ名の「Gjetord(イェートール)」とは「山羊の声」という意味だそうで、テレマルク地方(ノルウェー東南部)では「うわさ話」という意味にもなるんだとか。その名の通り、いかにもおしゃべり好きそうな、人なつこい笑顔が素敵な人たちでした(メンバーのひとりエレンさんの家は山羊の牧畜を営んでいるとか)。この手のライヴではよくあることですが、第一部こそ演奏者も客席もどことなく固さがあったものの、後半から終盤にかけてどんどん盛り上がっていき、演奏が進むにつれて陽気であたたかな雰囲気が客席いっぱいに広がっていくのが手に取るようにわかります。終盤にはノルウェーのカップル・ダンスまで飛び出して、とても楽しいひとときを過ごすことができました。
演奏曲はノルウェー伝統曲とメンバーのオリジナルが中心ですが、アメリカン・トラッドの「Wayfaring Stranger」をノルウェー語に訳してみたり、ノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグの曲(2007年に没後100年を迎える国民楽派グリーグのメロディは、ノルウェーのフォーク・ミュージックから着想を得ているものも多い)を再び伝統音楽に戻してみせたりと、興味深いものがいくつもありました(アンコールにやった童謡(かえるの歌〜ちょうちょ)のノルディック・アレンジも楽しかった!)。メンバー全員がテレマルクの音楽大学で民俗音楽を学んだというだけあって、このあたりの音楽的な試みはさすがに見事です。
●Ellen Marie Tangen tenkt på lenge...
EMT1/2002年?/Ellen Marie Tangen
グループのおそらく(?)最年長、エレンさんのソロCD。ギターやチェロ、フェーレ(フィドル)などによる伴奏もありますが無伴奏歌も多く、アコースティックな音色は、聴いているうちに気持ちをゆっくり落ち着かせてくれます。冬の夜長、熱いココアを飲みながら聴くのに最適。…いや、ノルウェーらしくリニエ・アクアヴィットでもいいですが(^_^)。
2006 12 11 [face the music] | permalink Tweet
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