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京都国際マンガミュージアムに行ってきました(追記)

 

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 11月25日に開館したばかりの京都国際マンガミュージアムに行ってきました。場所は京都市中京区、市営地下鉄御池駅を降りてすぐの、とてもわかりやすい場所にあります。ここはもと龍池小学校(明治2年開校、平成7年閉校)で、建物は往年の小学校の雰囲気も随所に残していますので、“三丁目の夕日世代”ならそれだけでも涙モノかもしれません。特に階段まわりは味があります。
 余談ですが、京都市内には京都学校歴史博物館京都芸術センターなど、古い小学校の建物を生かして公共施設にしているものがいくつもあります。その気になれば一日で見て回れると思いますので、京都観光のついでにぜひどうぞ。
 
 このミュージアムはオープンしたばかりということもあり、まだまだこれからだな、という部分も多いと思いました。わずか3時間ほどしか滞在していないのでかなり見落としているところもあるでしょうが、以下ファースト・インプレッションなど。
 

 

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 開館記念展は「世界のマンガ展」。館名に「国際」とつくぐらいなので、特別展だけでなく常設展示してもいいんでは、と思う内容でした。

 本展は2階のメインギャラリーと、ちょっと離れたギャラリー1、2、さらにその奥のギャラリー3の、合計4つの部屋に分かれてます。メインギャラリーはいちばん広いスペースですがその6〜7割を日本マンガが占めています。鳥獣戯画、北斎漫画から始まって明治、大正、昭和戦前そして戦後と、歴史をざっと俯瞰するもの。残りのスペースはアジアで、中韓や東南アジア各国のマンガ雑誌と、現地で出版された日本のマンガ本を展示。展示物の多くが実際に手にとって見られるのは嬉しいです。明治の漫画雑誌、たとえば東京パックやトバエなど何種類かはデジタルアーカイヴ化されていて、タッチパネルディスプレイで全ページ見られるようになってるんですが、慣れないせいかあまり操作しやすいものではありませんでした。あれはタッチペンがいるんじゃないか。
 廊下を渡ってギャラリー1は北米、2がオーストラリアとフランスやドイツなどのヨーロッパ諸国。最後の方にカートゥーンの説明パネルがあって、ギャラリー3の「京都国際マンガ展」関係の展示となります。
 
 コミックとカートゥーンをきっぱり切り分けているのは見識としましょう。けれど、紹介の比重がかなりコミックより、それも「日本のマンガは世界中に紹介されているんだぞぉ」に偏っている印象を持ちました。いや、確かにフィリピン版のドラえもんだとかドイツ語のセーラームーンだとかは珍しいし面白いんですけど。
 
 ところでこのミュージアム、ちょいと導線がよくないというか、ドコにナニがあるのかが少しわかりにくいんですよ。地下の収蔵庫なんかはあやうく見逃しそうになりました(入館時にマップ貰えるんですけどね)。現在の蔵書は20万点、ゆくゆくは30万点を目標にしているそうですが、そのうち約5万冊のマンガが館内で自由に読めます(子供とその保護者以外は立ち入り禁止ってコーナーもあって、私は入らなかったんですが、あそこには絵本もあったのかな?)。その書棚は1階から3階まで分散していて、特別展との区別がややあいまい。イスやテーブルもほとんどないのでどうしても「立ち読み」にならざるを得ず、通行に支障を来すよなあと思いました。
 閲覧作品は1階に少年マンガ、2階は少女マンガと青年マンガ、3階も青年マンガで、いちおう作家名のあいうえお順に収納されてるようですが、誰のどんな作品が読めるのかは、何度か通わないと把握できそうにありません。
 当然のことながら、日本のマンガがたった5万冊やそこらで全てを網羅できるわけではないので、あのマンガがないこの作家がない、といちいちあげつらっていけばキリがない。それはまぁいいんですが、どうも作品検索ができないようなのが非常に困りもの。これなら蔵書数はともかくも、ゆっくり座れて飲食自由なマンガ喫茶の方が、まだサービス的には上かも。あっちは24時間営業だし。
 
 これもそのうち充実されるんでしょうけど、マンガ本そのものだけでなく、ここ数年盛んになっているマンガの学問的研究、たとえば表現論や作家論に関する資料・書籍も見たかった。いちおう研究室には揃っているみたいなんですが、その部屋は一般は立ち入り禁止。ついでにいえば、館内の書籍をコピーとったり撮影したりもできないのも残念です。著作権などの問題で制限しなきゃなんないのはわかるんですけどね。まあそのあたりは、近いうちにスタートするはずの「利用者登録」制度がどのくらい使い物になりそうなのか、楽しみにしていたいと思います。
 
 非常につつましやかなミュージアムショップも含め、全体的にまだまだこれからだなあ、というのが正直な感想ですが、私が訪れたときは子供連れやカップルで賑わっていましたし、各階の書棚にも多くの人だかりでした(万引きっつーか盗難対策は大丈夫なんでしょうか?)。公的機関なんだし、子供連れで時間をつぶすならマンガ喫茶より安心感もあるでしょう。
 このミュージアムには、そういう「地域・地元の憩いの場」としての顔と「マンガの研究・情報発信の場」としての顔、ふたつの役割が期待されていると思います。現時点では前者の側面が大きいですが、今後の活動に注目していきたいですね。そういえば今月16日には諸星大二郎を招いてシンポジウムが開催されるようですが、先着200名限定。ううむ、これは寝坊しないようにしなくちゃ。
 
 
 …とはいえなぁ。仮にも「国際」と名付けられているんだから、外国漫画の蔵書にはけっこう期待していたんだけどなあ。特に、個人的興味からすればカートゥーンのコーナーはちと寂しいぞ。昭和3年(!)発行の外国漫画紹介本がさりげなくあったり「漫画讀本」が揃っているのは嬉しいし、トミー・ウンゲラーが何冊かあったのにもおおっと思いましたが、ソール・スタインバーグがただの一冊もなかったのは解せません。全部揃えろなんて非常識なことは決して言いませんが、せめてみすず書房が出していた『新しい世界』くらいなんとかならなかったものか。それと、国際漫画賞関連の資料はもっとがんばって欲しいところです。精華大学がらみの施設とはいえ、いくらなんでも「京都国際マンガ展」だけってのは、ちょっとねぇ。
【12月16日追記】:
 スタインバーグは《The Passport》があるのを確認しました。ただ、ハードカヴァー版とペーパーバック版の二種で、中身は同じ。ていうあたりで、いずれにせよ何らかのコンセプトがあって集められたコレクションというわけではないとは言えると思います。それと、同館で現在閲覧可能なコミック本は、2005年まで営業していたとある古本マンガ屋さんからの寄贈なんだそうで、シリーズものに欠本がまま見られる理由も納得。なんにせよソフト面の充実はまだまだこれから、というところでしょう。
 

2006 12 03 [design conscious] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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