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お言葉ですが/シャーン/リュス

 
Okotobadesuga●お言葉ですが… 第11巻
 高島俊男著/連合出版/2006年11月初版
 ISBN4-89772-214-4
 装幀・挿画/藤枝リュウジ
 
 週刊文春を読まなくなって久しいので、高島俊男さんの連載コラム『お言葉ですが…』が打ち切られた件は不覚にもつい最近まで知らなかったんであります。いやぁ、まことに残念。
 このシリーズ、連載分だけでももちろん面白かったんですが、単行本には【あとからひとこと】と題する追記があり、さらに文庫本にも追記の追記があるので、わたしはもっぱら文庫本で買いそろえておりました。文春文庫はたしか7巻まで出てまして、続刊を楽しみにしていたんですが、売れ行きが芳しくなかったとか聞くと文庫はこれ以上出ないのかな。
 文藝春秋社からの単行本は10巻で打ち止めですが、その後の連載終了までの分もこれで無事に出版されましたから、なにはともあれよかったよかった。最終巻には全11巻分の通巻索引が附いていますので、たいへん便利です。索引好きとしては嬉しい限り。
 
 『お言葉ですが…』は1995年の春にスタートした連載で、そういえばわたしが同誌をほぼ毎週買うようになったのもそのころでした。文春はコラムが面白く、というか毎週コラムしか読んでなかったですね。ナンシー関『テレビ消灯時間』、堀井憲一郎『ホリイのずんずん調査』、近田春夫『考えるヒット』、小林信彦『人生は五十一から(のち『本音を申せば』に改題)』、土屋賢二『棚から哲学』、阿川佐和子の対談『この人に会いたい』…とタイトルを挙げていくだけで懐かしいなぁ。そのかわり(?)メインの記事やスクープなんかはほとんど読んでなかったですけど。いまはこのうち何本残っているのかな。
 なかでも『お言葉ですが…』はとくにお気に入りで、このコラムからは知らないことをたくさん教えてもらいました。ここ数日、第1巻から読み直しているんですけど、初期のころは文章も若いですね。なにより勢いがあります。そしてやっぱり、先にも書きましたが【あとからひとこと】の追記部分が非常に楽しい(中には「ひとこと」じゃないだろ、というくらい長文もありますが、それがまたよろしい)。こういうきちんとしたアフターケアをされるところが高島さんの魅力でしょう。お書きになったものに対する愛情と責任感の強さがよくあらわれております。長いあいだ、ほんとうにありがとうございました。
 
 
Kokoga_ieda●ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸
 絵 ベン・シャーン/構成・文/アーサー・ビナード
 集英社/2006年9月刊
 ISBN4-08-299015-1
 装丁・デザイン/和田誠
 
 懐かしいといえば、ベン・シャーン(1898〜1969)はもっと懐かしい。というか、いまベン・シャーンを「新刊」で出会うとは思ってもいなかったので、書店で見かけてびっくり。
 このひとも日本の美術界で一世を風靡しましたよねぇ。わたしなんぞは最初に「イラストレーター」もしくは「ポスター作家」として知ったクチですが、ファイン・アートだ商業美術だという「狭いジャンル」など軽く飛び越えて、まっすぐ眼に飛び込んでくる絵を描く人として大好きでした。
 この「絵本」は、ベン・シャーンの連作『ラッキー・ドラゴン・シリーズ』をもとに詩人のアーサー・ビナードが再構成し、ことばをつけたもの。
 1954年3月に起きた「第五福竜丸事件」に取材した『ラッキー・ドラゴン』がすべて観られるのは貴重です(連作以外の絵が2点加えられてます)。これ、展覧会をやらないかなあ。久しぶりに実物が観たくなってきたぞ…と思ったらすでに昨年各地でやっていたんですね(参考)。全然知らなかったぁ…(T_T)。でもシリーズ全作品の原画展示はなかったようですが。
 画廊や美術館収蔵品の常設展示ではない大規模な巡回展覧会は、わたしは1991年のベン・シャーン展(東京・姫路・福島・岐阜・大阪)が最後。それ以降にもあったのかどうかは知りませんが、あの世界にまたどっぷりと浸ってみたいものです。このひとはモノクロの描線の力強さもものすごいんですが、水彩画の色彩の繊細さがとても印象に残っております。
 
 
Russes_2 話題がさらに古い時代のものになっていきます(笑)が、今年(2007年)春から秋にかけて『舞台芸術の世界〜ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン』という展覧会が各地で開かれるそうです。京都は国立近代美術館で6月9日から7月16日(参考)。バレエ・リュスのパリ・デビューは1909年なので、2008〜09年頃にはフランスをはじめあちこちで記念イベントや展覧会、バレエ公演が目白押しになることと予想しているんですが、今回のこれはその前触れみたいなものでしょうか。90周年のときには(1998年)東京と滋賀で大がかりな展覧会がありましたが、バレエ・リュスを主題にした展覧会としてはそれ以来になるのかな? 98年展でも衣装や舞台美術が数多く出展されましたが、今度のもいまから非常に楽しみです。
 左に掲げた写真は、バレエ・リュス関係の洋書ふたつ。
【手前】
●NIJINSKY'S CRIME AGAINST GRACE
 Millicent Hodson著/PENDRAGON PRESS/1996年
 ISBN0-945193-43-2
 Cover design by Robert Freese
 ニジンスキー振付版の『春の祭典』はゲネプロを含めてもたった9回しか上演されず、すぐにお蔵入りになってしまった「幻の作品」で、ながらくオリジナル振付は謎のままだったんですが、それを復元しようと考えた人がいました。この本の著者、ミリセント・ホドソンがその人で、1970年にカリフォルニア大学在学中に『春の祭典』の舞台写真を図書館で見てひとめで惚れ込み、以来この作品の復元に取り組みます。その成果がこの本で、鈴木晶さんの『ニジンスキー 神の道化』(新書館/1998年/ISBN4-403-23058-X)の中でその経緯が詳しく紹介されています。全ページにわたって楽譜とメモ、そして対応する振付を描いたスケッチで構成されています。少なくとも譜面が読めなければさっぱり理解できない本ではあるんですけど、スケッチを眺めているだけでもイマジネーションがどんどん膨らんできます。まんなかあたりに入ってる8枚のカラーイラストがとてもお洒落。切り取って額に入れて飾りたくなります(もったいないからしないけど)。
【うしろ】
●THE BALLETS RUSSES AND ITS WORLD
 Lynn Garafola & Nancy Van Norman Baer編/Yale university press/1999年
 ISBN0-300-06176-5
 Designed by Sonia Scanlon
 ディアギレフおよびバレエ・リュスに関する論文集。本文はほとんど読んでませんけど(爆)図版が豊富なので楽しいです(ほとんどの図版がモノクロなのが惜しい)。バレエ・リュスに関心がある人はおそらくアール・デコ・デザインやロシア・アヴァンギャルド、バウハウスあたりの世界にも同じように興味があると思うんですけど、そのへんが好きな人ならたぶん見飽きないでしょう。本文は全編英語で(これが仏語や露語ならハナからお手上げなんですが)、なんとか辞書を片手に拾い読みしていきたいところですがなかなかすすみません(笑)。日本語訳版出ないかなあ。

2007 01 19 [booklearning, dance around, design conscious] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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