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音で聴く「モダン大阪」

 

Modernshinsaibashi

●モダン心斎橋コレクション メトロポリスの時代と記録
 橋爪節也著/国書刊行会/2005年9月初版
 ISBN4-336-04726-X
 造本装釘:梅田綾子
 
 以前このブログで「モダニズム心斎橋」という展覧会に行ったことを書いたけど(→踊る阿呆を、観る阿呆。:モダンな街・心斎橋 2005年1月)、この本はその展覧会から約半年後に刊行されていたもの。そんなこととはつゆ知らず、つい最近本屋で見つけたので慌てて買ってきた。
 
 慌てて——とは書いたものの、レトロな写真や当時(大正〜昭和初期)の広告など、珍しい図版が満載のこの本、それだけならまぁ買っても買わなくてもどっちでもいいかなとも思ったんだけど(巻末に関連年表くらい載せて欲しかったなぁ。これじゃ資料としてはあまり使い勝手が良くない)、実は附録にCDがあって、わたしはそっち目当てで買ったのでした。
 
 オンライン書店などをざっと見ても、附録CDの詳細は掲載されていないようなので、ここに記しておく(CD監修:毛利眞人)。
  1. 大阪行進曲  松本英一:作詞/近藤十九二:作編曲/井上起久子:唄/日蓄ジャズバンド:演奏
  2. 今昔浪花の夏(昭和時代) 長谷川幸延:脚色/長谷川卓雄:指揮/日東音楽描写団:演
  3. 大大阪地下鉄行進曲 平塚米次郎:作詞/橋本国彦:作曲/徳山璉・小林千代子:唄/日本ビクター管弦楽団:演奏
[大阪見物]
  1. (1)大大阪の概略、大阪駅—曾根崎 芝澄江:声
  2. (2)大阪城 藤森ぎんの:声
  3. (3)天王寺 植平玉子:声
  4. (4)築港—道頓堀—日本橋 笹野ミツエ:声

  5. 大阪セレナーデ 大阪時事新報懸賞当選歌(沢田初太郎):作詞/佐々紅華:作曲/二村定一・天野喜久代:唄/コロムビアオーケストラ:演奏
  6. 心斎橋 中井修:作詞/小林貞二:作曲/貝塚正:唄/日東管弦団:演奏
  7. 船場小唄 黒川晃:作詞/水谷ひろし:作曲/白石照夫:唄/ニットーオーケストラ:演奏
  8. アメリカンパトロール American Patrol Frank W. Meacham:作曲/河合ダンス団 菊弥:木琴独奏 
  9. オリエンタルダンス Dance Orientale G.Lubomirsky:作曲/杉田良造:指揮/河合サキソフォーンバンド:演奏
  10. 白百合の賦 修養団:作詞/永井幸次:作曲/永井八重子:唄/永井幸次:ピアノ伴奏
[月光の曲] L.Van Beethoven:作曲/沢田柳吉:ピアノ独奏
  1. 第一楽章
  2. 第二楽章
  3. 第三楽章

  4. 市場(「日本スケッチ」より) 貴志康一:作曲・指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団:演奏

 内容は非常にバラエティに富み、かつ他では滅多に聴けるチャンスのない珍しい音源が多く含まれている。いやあ、楽しいのなんの。ちなみに「大大阪」というのが2度出てくるけれど、わたしのタイプミスではないので念のため。ニュー・ヨークを“ビッグ・アップル”と呼ぶようなものでしょうか(違うかナ)。
 各音源の詳しい解説も掲載されているので、リストを眺めていてご関心のある向きはぜひ本書を手にとってみてください…なんですが、一点だけ。
 このCDではじめてその名を知ったんだけど、最後の貴志康一がすばらしいです。上のリストにベルリン・フィルの名前があるけれどこれはもちろんあのベルリン・フィルで、<1935年3月27日にベルリンのベートーヴェン・ザールで録音された>と本書解説にあります。どんな人なのか気になったので検索してみるとWikipedia貴志康一のホームページがすぐに出てきて、それを読めば読むほどびっくりしてしまう。いやはや、戦前の日本にこんな凄い人がいたんだ! というオドロキで、いま少なからずコーフンしているんであります。評伝も刊行されているようなのでぜひ読まなきゃ。
 
 と、こういう音楽家の存在を知ることができただけでもわたしにとっては収穫だったけど、CDの他のトラックも面白いものだらけ。なかでも[大阪見物]の4つのトラックは昭和10年頃の観光バスの案内をそのまま吹き込んだもので、よくもまあこんなものが残っていたものだと感心することしきり。残っていたというよりも、よくもまあ録音していたという方に感心するべきかもしれないけれども。
 そういえば——先日聞いた話では、日本には戦前・戦中に録音だけしたもののレコード化されずに眠っている音源がたくさんあるんだそうな。その中には日本国内のみならず、かつての日本が支配していた大陸や南洋の国々のフィールド録音も多く含まれているということなので、民俗記録としてとんでもない価値があることだろう。どこか公的機関がきちんと管理したうえで、アーカイヴを一般公開してくれないものでしょうかねぇ。
 

2007 02 21 [booklearning, face the music] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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