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スミソニアン詣で—博物館(1)

 
 無事日本に帰ってきました。
 滞在中はひたすらスミソニアン詣での日々で、歩きすぎて足が痛い…(><)
 
 スミソニアンは19の博物館と美術館、そして動物園の集合体で、そのほとんどが「モール」と呼ばれるワシントンDC中心部に集まっています(一部はニューヨークにも)。とてもじゃないけど数日で見て回れるような規模ではないし、またその必要もないんですが、せっかくなのでいろいろ観ておきたくなるのも人情。
 
 
 ところで、わたしのお気に入りブログのひとつに<SHINOblog>がありまして、ブログ主であるしのぶさんがお書きになる記事は戦闘機から宇宙ロケットまで、また恐竜からパンダまでと実に多彩かつ縦横無尽で(しかもものすごくためになる!)、わたしはひそかに「歩くスミソニアン」と呼ばせてもらってます(^^)。
 そのしのぶさんに、出発前に「コレだけは観ておけというモノはごぜえますでしょうか」とメールでお伺いしたところ、瞬時に返ってきたのが「月の石を触ってこい」というお達し。
 なので、まっさきに国立航空宇宙博物館 National Air and Space Museum に行ってきました。
 

Airspace01

 10時の開館前からすでに大勢並んでます。なんでも世界一入場者が多い博物館なんだそう。
Airspace02

 入場してすぐのホール。「Milestones of Flight」と呼ばれる、博物館の重要な所蔵品が一同に会したスペースです。「スプリット・オブ・セントルイス号」、「スペースシップ・ワン」、「アポロ11号コロンビア号」、「バイキング火星着陸船」、「スプートニク1号」、「ベルX-1“グラマラス・グレニス”」などなど、お好きな方ならこのホールだけでご飯三杯はいけるかも(^^)。
 
Airspace03 “触れる”月の石もここにあります。左の写真のように、おおきい表示板が出ているものの、最初は見つけられなくて館内をぐるっと一周してしまいました。てっきりアポロ計画関連コーナーに鎮座ましましてるんだとばかり思ってたので、入り口付近のスペースにあっけらかんと飾ってあるとは思いもしなかった。実際、あとで触れますが、他のコーナーにある「月の石」の方がうんとそれっぽい。ここにあるのはえ、ホント? と拍子抜けしてしまうくらいフツーのプレートであります。
 
Airspace04

 ここに設置以来、すでに何千万人、あるいはもっと多くの人の手が触れたであろう月の石。「おびんずる様」じゃあないですが、つるつるすべすべで、正直あまり「おお、凄い」とは思いませんでした…。
 
 「月の石」は他のコーナーでもっとちゃんと展示されてます。以下、アポロ15号、16号、17号が採取してきた月の石(と砂)。こちらはケースの中なので触れません。
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 1970年の大阪万博で展示されてたのは確かアポロ11号が持ち帰った月の石ですが、こちらは見つけられませんでした。どこかにあったのかなあ?

Airspace09

 月面のレレレのおじさん(違
  
Airspace10

 コクピット、狭っ! エコノミー症候群どころの騒ぎじゃないです。よくもまあコレで地球外まで出たもんだ。
 
 なお、月の石は近くの国立自然史博物館 National Museum of Natural History にもあります。月の石そのものは触れませんが、地球上に落ちてきた隕石などが直に触れるようになっているので、かなり面白いです。
 
 
 航空宇宙博物館には別館があります。場所はDC市内ではなく、ダレス空港のそばなので、本館からはバスで1時間以上かかります。日本に原爆を落とした、かの「エノラ・ゲイ」はこちらに展示されてます。
 実は別館にも足を運ぶつもりだったんですが、時間的な都合がどうしてもつかず、今回は涙を呑んでパスしました。うーん、捲土重来ということで。
 
 航空宇宙博物館は人類が最初に空を飛んだ熱気球(のレプリカ)からハッブル宇宙望遠鏡(の模型)までとにかく幅が広い。第一次大戦/第二次大戦の専用コーナーもあればミサイルもあります。それらを眺めているうちに、飛行機にしろ宇宙開発にしろ、こういうのは軍事と直結しているんだなあということを改めて感じました。少なくとも、戦争(とその技術)をまっすぐ肯定しているのは間違いないでしょう。
 それはなにも航空宇宙博物館の展示方針に限ったことじゃなく、たぶんこの国の基本的常識なんでしょうね。そういえば、ワシントンは至る所に戦争のモニュメントがある街でもあります。アーリントン墓地にある、第二次大戦の硫黄島の銅像(帰りぎわにバスの中からちらっと眺めましたが、想像以上にでかかった)がいま人気ですが、おとなりのヴァージニア州まで拡げると独立戦争や市民戦争(南北戦争)のモニュメントがあちこちにあります。
Clash スミソニアン内の別のミュージアムですが、18世紀に英仏およびアメリカン・インディアンからアメリカがいかに独立を勝ち取ったかという展覧会もやってました(《CLASH of EMPIRES》S.Dillon Ripley Center International Gallery、7月15日まで)。対英仏はともかくも、ここではネイティブ・アメリカンであるインディアンとの戦いも、アメリカにとって「独立戦争」のひとつとして同列に扱っているんですね。この国の建国史とはそのまま戦争史でもあるんだなあと。
 今回は訪れてはいませんがスミソニアンにはホロコースト博物館というのもあります。エノラ・ゲイの展示もそうですが、善悪はともあれ人間がおこなった行為をなんでも後世に残しておこうという強い意志を感じます。こういうのは展示の仕方や説明文などの部分で異論もいっぱい出てくるんだろうなとは想像できますが、そういう議論喚起のためにもどんどんオープンにしていこうという態度は、さすがだと思います。
 
 そういえば、ここにも行ってませんけど、国際スパイ博物館っていうのもあります。FBIビルのすぐそばに建っているというのが、なにか大がかりなジョークみたいですが。
 

2007 05 07 [wayfaring stranger] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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comments

 わたしが行ったのは、新設するはずの「原爆展」が反対意見殺到で縮小された年ですから、11年、いや12年前? あの時は、最初のホールに(「紅の豚」のモデルになった)カーチスの水上飛行艇があったような・・・。

 エノラ・ゲイも奥の部屋に尾翼が鎮座してましたっけ。その隣に第二次大戦の部屋があって、印象深かったのが「各国の撃墜王一覧」なるコーナー。連合国軍ばかりではなく、ドイツ、イタリア、そして日本(名前忘れちゃった)の”エース”たちの名前と肖像写真、戦歴が展示されていて、わたしも彼の国の「戦争観」について考えさせられました。

 ところで、アメリカの美術館・博物館でわたしが一番感心したのが、ニューヨークにある自然史博物館。展示内容はさておき(?)、団体で見学に来た子どもたち用のランチ・ルーム(持参した弁当を広げることができる部屋)が地下にあったのには感心しました。「へぇ、こんなスパースがあるんだ」と思って覗きにいったら、ちょうど先生に引率された小学生の集団が昼食を終えて出てきてました。日本でも、あんなスペースがあったらいいのになぁ。

 

 

posted: 熊谷 (2007/05/07 23:03:13)

まずはお疲れさまでした~。
倒れる寸前まで歩きまくってきたんですねっ(笑)。
国立航空宇宙博物館まで足を運んでくださって、本当にありがとうございます!
あーもう、私も一度は行かなきゃいけないなあ(笑)。

触れる月の石、ショボいという話はうっすら聞いてたんですが
ここまで普通だったとは、言われなければ
ただのタイルと何の違いもないですねえ(笑)。
もしかしたら、展示された当初はもうちょっとゴツゴツしてたのかも知れませんね~。

アポロの帰還船は、本当、ちょっとした自動車くらいしかないんですよね~。
ミニバンの方がずっと快適そう(笑)。
スペースシャトルに搭乗した野口さんが言ってたんですが
確かに宇宙船の室内は狭いけど、
無重力状態になれば、壁全面が床のようになるので
意外と広く使えるんだそうです。
とは、言っても容積までは変わらないから、
やっぱり閉所恐怖症の人にはつらいでしょうね~。
(って、そんな人は飛行士にならないか)

>>飛行機にしろ宇宙開発にしろ、こういうのは軍事と直結しているんだなあということを改めて感じました。

ああ、これは私もすっごく同感です。
望遠鏡や衛星カメラの高解像度化、遠隔地へピンポイントで着陸させる技術、
遠隔操作に自律航法・・・・。
「宇宙開発技術と軍事技術のどちらの範疇でしょう?」と言われたら
答えられない人も多いんじゃないでしょうか。
実際、両方とも正解だったりしますしね。
また、そうでなければ、アメリカはここまで必死に
宇宙開発に取り組まないだろうとも思ってます。
技術大国日本がことロケットに関してはさっぱりダメダメなのは
軍事開発をやってこなかったせいでもあるんだろうなと。

すっかり熱くなってきちゃったので、今日のところは(笑)この辺で。
まだまだ語りたいことは山のようにあるんですが(笑)。
パート2も楽しみにしてますねっ。

posted: しのぶ (2007/05/07 23:21:15)

 コメントありがとうございます。
 
>熊谷さん
 「原爆展」の件は新聞報道でなんとなく記憶にあります。別館にエノラ・ゲイを展示したときも反対運動がありましたね。まあ、ウドバー・ヘイジー・センターには、エノラ・ゲイだけではなくコンコルドも置いてあるから行ってみたかったんだけどなー。
 水上飛行艇はあったのかな、ちょっと記憶があいまいですが、「第一次世界大戦」コーナーの飛行機がみんな渋くていい味だしてました。それこそ「紅の豚」の世界だー、わーい、とちょっとコーフンしてました。
 
> ニューヨークにある自然史博物館
 映画は全く詳しくないんですが「ナイト・ミュージアム」がここを舞台にしてるんでしたっけ? 古くはジーン・ケリーやシナトラが出ていた「踊る大紐育」にも出てきた博物館ですよね。あちらにもいつかは行ってみたいものです。
 
 
>しのぶ先生
> あーもう、私も一度は行かなきゃいけないなあ(笑)。
 はい、それはもう。ってか、わたしなんかが行くよりも数百倍は意義があるような気が。もっとも、興奮のあまりもうココに住み着いちゃう!ってなるかもしれませんが(笑)。
 いずれにせよ、もし行かれるんでしたらたっぷり余裕を持ったスケジュールを組まれるのが吉かと。関東からだと成田ーダレス直行便が出てますので、別館にも行きやすいですよね。
 
 触れる月の石、何かの間違いかと思いました。ホントはこのプレートの上にちゃんとご本人がいらっしゃって、今はたまたま離席している最中なのかと(爆)。
 
>また、そうでなければ、アメリカはここまで必死に
> 宇宙開発に取り組まないだろうとも思ってます。
> 技術大国日本がことロケットに関してはさっぱりダメダメなのは
> 軍事開発をやってこなかったせいでもあるんだろうなと。
 
 インターネットのはじまりもたしか軍事目的なんでしたっけ? およそ「技術」と名の付くものの大半は戦争が第一目的か、あるいは戦争にも転用できるモノなんでしょうね。そのへんを上手にコントロールするのが知性とか理性とか政治とかの役目でもあるんですが。
 
 まあ、「技術大国」の筈なのに存分に技術を発揮させられなかったのは、敗戦国の悲哀ということで…。

posted: とんがりやま (2007/05/08 21:44:38)

 戦争の技術は「結果」重視なんで、効率とか節約は計算に入りません。要するに物量です。最短時間に最大限の物量を集中するための技術です。アポロが袋小路になったのも、結局、無制限に物量を投入できなくなったからじゃないかな。日本が発達させたのはそれとは反対に、いかに少ない資源で最大の効果を出すか、の方でしょう。現時点でのその一番の象徴がプリウスです。

 ロケット技術が発達しないのは、お役所がやってるため、というと語弊があるかもしれないけれど、ロボットの発達を見てると、いずれホンダあたりが高性能省資源型の誰でも飛ばせるロケットを開発するんじゃないかと思ったりもします。あなたも裏庭から月に行こう!なんてね。

 「国家」として見た場合、アメリカは「敵」を持つことでかろうじて「国家」を成立させている、というのがよくわかりました。インディアンからみれば、アメリカ国家は泥棒、強盗以外のなにものでもないでしょう。
 その一方で、アメリカの「理念」、アメリカ型民主主義の根本にはインディアンの社会制度、考え方が組み込まれていることも明らかになってますが。こちらについてはグリンデ&ジョハンセンの『アメリカ建国とイロコイ民主制』(みすず書房)をご参照。

posted: おおしま (2007/05/09 12:54:09)

>おおしまさん
 上で触れた『CLASH of EMPIRES』とアメリカン・インディアン博物館には、柄にもないことをあれこれ考えさせられました。「戦争」とか「国家」とかっていうのは、真剣に考え出すと頭が沸騰してきますが(笑)、ふだんヘラヘラしてる分、こういう機会でもないとってのもありますね。
 
 インディアン博物館を見てきた感想も書き残しておきたいなあとは思ってるんですが、なんかうまくまとまりそうにないです。うまくまとめる必要なんてどこにもないんでしょうけど。

posted: とんがりやま (2007/05/10 21:09:28)

 

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