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突然の閉館「京の道資料館」

 

Kyo_no_michi

●京の道探検ブック1〜10
 平成18年6月〜平成19年3月
 発行:京の道資料館
 
資料館など7カ所を閉鎖 道路財源投入し運営委託

 国土交通省は19日までに、道路特定財源を使い所管の公益法人などに運営を委託している仙台市など4カ所の道路資料館と大阪市など3カ所にある「道の相談室」を急きょ閉鎖した。道路特定財源の支出の在り方への批判が強まったことに対する措置。国交省は「運営の在り方を今後検討し、再開するか決めたい」としている。

 道路事業の仕組みなどをパネル展示する資料館の閉鎖は「みちあむ」(仙台市)、「万代橋・柳都大橋資料館」(新潟市)、「京の資料館」(京都市)、「防災資料館メイプルルート29」(兵庫県宍粟市)の4カ所。新潟市の資料館は予約制で事実上、受け付けを中止した。

 建設費は1カ所当たり平均3500万円で、2007年度の運営費は同1400万円。運営は宍粟市の資料館を除き、国交省OBの天下りが多い各地の建設弘済会や建設協会に随意契約で委託している。(共同通信)


 引用記事は京都新聞2008年3月19日付の記事より(電子版のキャッシュはこちら)。

 ここんとこなにかと批判の対象となっている道路特定財源に関連した事業ですが、ひっそりと(?)慌てて(?)閉館されちゃうというのも、なんともはや。

 「京の道資料館」は京都駅前に2001年秋にオープンしたささやかな施設で、お役所仕事の例に漏れずたいした宣伝もしなかったようだから、その存在すら知らなかった人も多いのでは。かくいうわたしも、実際に足を運んだのは昨年末で、かろうじて間に合った、という感じでしょうか。

 上に掲げた写真は、同館で貰ってきた小冊子。国土交通省近畿地方整備局・京都国道事務所が主催している「京の道探検隊・洛洛歩考会」という会(平成14年9月スタート)の参加者に配られた資料をもとに、同会の活動報告を兼ねて作成されたものだそうです。もちろん無料で、京都各地の道の歴史や見どころなどを紹介している全ページオールカラー、各巻24〜32ページ仕立てのなかなか贅沢なパンフレット。わたしが持っているのは10巻までで、「洛洛歩考会」じたいは2008年3月に第12回が開催されていたらしいんですが、さて、今後はどうなるんしょうか。って、一度も参加したこともない人間が案ずることでもないのかもしれませんけど。

 

 この種の事業が税金の無駄遣いだという批判はごもっともでしょうし、そんなカネがあるならもっと別のところに有効利用せよ、というのもまことに正論。正論過ぎて誰もが表だって反対しにくいところがちょっとアレですがね。ま、そうでなくても役人OBの天下り施設というだけでなんだかなあ、と見られてしまいがちでもありますし。たとえばこの小冊子に載っている情報なんかでも、民間の好事家というかマニアックな一般市民がもっと深く掘り下げて、ウェブで発表してたりすることだってあるかもしれません。そしてむしろ、そういう個人的な興味で展開する方がより面白いのかもしれません。

 とはいうものの。

 商業ベースの観光案内とは違う切り口で自分の住んでいる街の道路や町並みをどう見ていくのか。ここんとこ路上観察モノがまたもや脚光を浴びてますが、企画の立て方次第では、そんな「あまりショーバイにはなりにくい」地元再発見の情報センターとしての役割だって果たせそうな施設だっただけに、こんなにいともあっさり閉鎖されてしまうというのも、それはそれで惜しい気もします。最後の最後まで、(いろんな意味で)いかにもお役所仕事らしいというかなんというか。

 

 そういえばこの資料館の奥には小さな本棚があって、古い地図やら道路政策の関連資料がいろいろ置いてありました。今度ヒマができたらまたゆっくり見に来よう…と思ってたら閉館になってしまったんですが、あの蔵書たちはどこへ行くんでしょうねえ。どこか地元の図書館が引き取ってくれればいいんですが。

 なお、ハコものとしての「京の道資料館」は休館となってしまいましたが、国土交通省近畿地方整備局・京都国道事務所のウェブサイト「京の道」はまだ残っています。→http://www.kkr.mlit.go.jp/kyoto/index.php

2008 03 28 [living in tradition] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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