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擁壁見物
このところ、ヒマができると擁壁(ようへき)を見物しに、あちこち出かけてます。
「擁壁」って書くとなにやら専門的で難しげですが、なに、人の住んでるとこならどこにでもあるもので、「見物に出かける」などと言ってもどこか遠くへ行くわけではなく、要はただの近所の散歩なんですけど。
たとえばこんな風景。平野の広がる都市部ならともかく、ちょいと郊外へ行けば日本国中どこででも見られるんじゃないでしょうか。

うっかりクリックすると拡大してしまうので注意
この写真のそれがどうしたなどという声が聞こえてきそうですが、よーく見てください。写真上方の壁と下方の壁とでは、表面のパターン模様が違ってるじゃないですか! パターンだけでなく、使用している材質もどうやら違うっぽい。
いままで、この手の壁なんてみんな同じようなモノ、なんて思ってませんでしたか? そう、確かに一見すると「同じようなモノ」なのかもしれませんが、よくよく見ればけして「同じモノ」ではない。そこんところがイイんですよねえ。
つい「擁壁」なんて難しい言葉を使ってしまいましたが、実は正確な定義を知りません。とりあえず上の写真でいうとグレーの壁の部分、「土砂や岩石の崩落を防ぐために造られた壁」だという風に、おおざっぱに理解しています。ただの「壁」ならビルの壁面から隣家を区切る塀までたくさんありますが、擁壁の場合は片方が岩や土の固まりなので、実はものすごい圧力に耐えている。そこんところがイイんですよねえ。
ほとんど空気か水のように、普段は全く気にしていない擁壁。意識するとすれば大地震や台風のため「崖崩れが起こった」などとニュースになるときくらいでしょうか。壊れてからはじめて気づく大切さ。友情と同じですね、って違いますかそうですか。
「擁壁」とは認識していなくても、その気になって見てみれば、こういう構造物はほんとにあちこちに存在しています。住宅地だけでなく、道路から河川敷まで、人が活動している土地には必ずといっていいほど見つかります。考えてみれば、その土地の土台作りですしね。土地を安全かつ効率的に活用するために、まず足場をしっかり固めよう、というのが擁壁の役割なんでしょう。

ずばりこの街ではないですが、わたしが育った街も上のような感じの、丘陵地というか山を削って造成された新興住宅地です。画面右側に「擁壁」がずらずらっと並んでるのがおわかりでしょうか。同じ擁壁といっても最初の写真のとは表層がまったく違います。そこんところがイイんですよねえ。
物心付いた頃からこんな景色を毎日眺めてきたので、この種の風景は自分にとっての原風景でもあります。わたしだけじゃなく、郊外の新興住宅地育ちって人はかなり多いと思うので(○○台とか△△ヶ丘ってネーミングの住宅地って日本中にどれくらいあるんだろ)、ここはいっそ大胆に「ニッポンの原風景」と言ってもいいかも。いやいや、土地改良工事なんて古今東西世界中どこでもやってきたことでしょうし、この際思い切って「人類の原風景」って言っておきましょう。治山治水は文明の基礎。
ともあれ、こういう風景はあまりに日常すぎてこれまで注意して観察していなかったんですが、いったん気になり出すと止まらなくなってしまいました。もっとも、どこがどう面白いのかを説明するのは大変ですが、たとえば下のような画像を何分でも飽きずに眺めていられる人なら大丈夫。

そういうわけで、発作的にこんなブログを作ってしまいました。

擁壁見物(ようへきけんぶつ)
ワンテーマブログの運営なんて初めてですし、そうでなくても飽きっぽいわたしがいつまで続けられるかわかりませんが、なるべく週一回くらいのペースで更新できればいいかなあと思ってます。もちろん、ひたすらこういう写真ばかりなので、あしからず。
擁壁を鑑賞している先達はゼッタイおられるはずで(だってこんなに魅力的なんだもの)、専門ブログなりホームページなりもとっくにあるかと思うんですが、自分の検索能力が乏しく、うまく見つけられませんでした。良いサイトをご存じの方、教えていただけたら嬉しいです。
2008 06 01 [information] | permalink
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