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WHSmithの事務用品パッケージが面白い(ただし昔の)

 
 むかーし、昔のことじゃった…。

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 もうかれこれ20年くらい前になるのかな、ロンドンでWHSmithという大手の本屋さんを覗いていたときのこと。日本で言うと紀伊國屋書店とか丸善みたいな感じなんでしょうか、そのへんの格付けはよくわかりませんが。ここは本だけでなくステーショナリーも扱っていて、そこで見つけたWHSmithオリジナル文具が面白くてついつい大人買いしたことがありました。
 我が家の整理をしていたら、それらが当時のままの状態で、小ぶりの段ボール箱いっぱいに残っていたのが見つかったのでブログのネタにしてみます。
 
Paper_clips “大人買い”したのは、どうってことない事務用品。マグネットだとかステープラーだとか封筒だとか輪ゴムだとかのどこでも手に入るモノばかりで、わざわざロンドンで買う必要なんてないんですが(じっさい、買ったものはなにひとつ開封してませんし)、わたしはモノではなくてそのパッケージに惹かれたんですね。たとえばこういうの(写真左、クリックすると別ウインドウで拡大画像がでます=以下同じ)。中身は何の変哲もないゼムクリップですが、パッケージに描かれたカートゥーンが洒落てます。
Clips_now カートゥーンを使ったこういうパッケージをWHSmithがいつ頃から始めていたのか知りませんが、少なくとももう現在ではやってません。右の画像はWHSmithのオンライン・ショップからの引用ですが、ご覧のようにいかにも事務用品らしい、面白くも何ともないデザインになっております。
 
 まあ、確かにマンガじゃあオフィス向けにはふさわしくないでしょうし、デザイン変更もさもありなんという気がします。20年前でもこのパッケージデザインは異色で、だからこそわたしも嬉々として買い漁ったのでしょう。
 
 この絵を描いたのはどういう人なのかな? サインを見ると「LaHz」と読めるような読めないような。イギリスといえば老舗の諷刺雑誌『Punch』が有名ですが(ただし2002年だったかに廃刊しましたね。明治初期の日本で諷刺画のことを「ポンチ絵」と呼ばれていたのはこの雑誌が語源です)、実はこの人も同誌の常連作家のひとりだったようです。手許に1990年6月6日号がありますが、ここにも数点掲載されてます。当時の英国人なら誰でも知ってる作家だったのかどうか、そこらあたりの機微はわたしには見当が付きませんが、いかにもPunchとかThe New Yorkerなんかでよく見るペンタッチなので、馴染みやすい感じではあったんでしょう。
 以下、買ってきたもの全てではないですが、手当たり次第に並べてみます。今や「ビジネスの現場にネットもケータイも無い状態」というのが考えられないほどごく普通に存在している昨今ですが、この当時は逆に、そんなものが当たり前になるなんてまだ想像すらできなかった頃で、そういう(今から思えば)牧歌的だった時代の空気感みたいなものも、少しは感じ取れるかもしれません。

Selfseal_envelopes パッケージに描かれたカートゥーンは、基本的にはその商品の特徴をコピー(言葉)ではなく一枚の絵で表したものです。けれどもそこはマンガ家、単なる図解ではなく思わずニヤリとしてしまうものが多いんですね。たとえば、こういうのはいかにもマンガ的なアイディアではないかと思います。リアルでやったらドン引きでしょ。
 

Lettering_seat 「マンガ的」ということでいえば、誇張が過ぎて実際の商品では不可能なコトをやってる図柄も多いです。今の日本だったら「虚偽表示」だとかなんとかで思いっきり叩かれるんだろうなあ。こういうのはあまり神経質にならずに、ユーモアってことで大らかに接するのがよろしいかと思うんですが。
 

Adhesive_labels これもひょっとしてツッコまれそうな表現かも? 要するに「取扱注意」とかの文言があらかじめ印刷されているラベルシールなんですが、よりによって牛に貼らなくても。しかも名札用ラベルじゃないし。
 
 
 
Address_labels 同じく「羽や毛にはくっつかないだろ、常識的に考えて」系をもうひとつ。最初に掲げた封筒と同様、水に濡らすと糊になるタイプのアドレス表示用ラベルで、それを伝書鳩のおなかに貼っているというオチ。
 
 
 
Bubble_pack エアーパッキン、いわゆる「プチプチ®」ですね。そうか、こういう使い方があったのか! どうするバンダイ!? って違いますかそうですか。ところで、登場人物たちがやっているのはもちろん野球ではなく、クリケットであります。このへんが英国ですなあ。
 
 
Boardbacked_envelopes 対象商品の使い道を激しく間違ってるモノ、もうひとつ。すっかり子供のおもちゃになってますが、奥の方ではパパが黙々と仕事してるのがよろしい。
 
 
 
 
 
Penclip もちろん上記のようなふざけた(?)図柄ばかりではありません。これは警察官も労働者も、画家も紳士も誰もが使ってる。煽り文句をつけるならさしずめ「現代人の必須アイテム!」てな感じでしょうか。確かに便利そうなんだけど、動いてるうちに簡単に落ちてしまいそうでもあります。
 
 
Rubber_bands これはかわいい。おぼろげな記憶では、店頭でいちばん最初にこれを見つけたのがきっかけで、面白くなって売り場じゅうを探索したような。当時「鳥のエサと間違えて買ってしまったじゃねえかゴルァ」って怒鳴り込んだ人は…いなかっただろうな。
 
 
Scissors 商品特徴的には折りたたんでよりコンパクトに携帯できます、ってのがウリなようなんだけど(裏面に説明書きがあった)、残念ながらこの絵では言い切れてません。それとも「新車の発表会のような仰々しい場にこういう商品を使う」ってのが英国流ウイット?
 
 
Subject_dividers いかにも「ビジネス向け商品」という感じの図柄も紹介しておきましょう。これが日本だと「5人揃ってゴレンジャー」みたいな趣向になるんですかね。アイディアの基本としては一袋5枚組=オリンピックの5つの環よろしく「五大陸」なのかな。登場人物の描き方とか並べ方とか、いろいろとツッコミやすそうな図柄ではあります。
 
 
Clear_file_pockets インターナショナルぽいのをもうひとつ。国名は奥から手前に「ウガンダ」「U.S.A」「U.S.S.R(って表記も懐かしい)」「ウルグアイ」「ユーゴスラビア」。国連御用達ってことなのかしらん。こりゃまた大きく出たな。
 
 
 
Clear_pockets 買ってきたモノはまだまだあるんですが、いいかげん疲れてきたので(^^;)このへんで。ママは自動車免許証を入れてますが、坊やの方は…。それぞれの大事なものを入れておきましょうっていう使い方提案でもありますね。ほのぼの。
 
 
 
 
 「これはなにかのネタになるっ」と思って喜び勇んで買ってきてかれこれ20年近く。結局いちども開封することなくずっと段ボール箱に眠っていたわけで、当時のワタシはいったい何のネタにするつもりだったんでしょうか。はなはだ謎であります。
 実は、その頃すでにウェブログ時代を予見していたのだ、そのためのネタ集めを当時から着々とやっていたのだ、わはははは…ってことにして、このエントリを終えさせていただきます。どっとはらい。

2008 09 01 [design conscious] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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