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リハビリの日々2

リハビリの日々2
手術後はひたすらリハビリである。ていうか、それ以外にやることがない。日を追うごとに痛みが和らぎ、徐々に患部付近を動かせるようになってきた。みるみるうちに、という言い方が適切かどうかはわからないが、劇的とでも言いたくなるほどの進化を毎日実感できるのは何よりの喜びだ。
病院の一日は長いのか短いのかよくわからない。6時起床はいいとしても、夜9時消灯はさすがに眠れない。昼間も短時間だがうとうとしている時もあり、日頃の睡眠不足の解消にはなるかもしれないがどうにも身体が薄ぼんやりとなまってしまう。

手術後は満足に風呂にも入れなかったりするし、どのみち誰に会うわけでもないし、などと面倒になってヒゲ剃りなんかもつい手を抜きがちだが、こういう生活だからこそ「日常の細々としたこと」をルーティンとしてきちんとこなすことが大事なんだなあと、ある日気がついた。ルーティンがなにもないとただ茫洋とした時間の塊があるだけで、身体がその中に埋没してしまう。要するに、肉体こそ病院内の非日常的時間に拘束されているが、気持ちの上では普段の生活を可能な限り継続すべきで、でないと退院後の社会復帰が面倒くさいものになるのではなかろうか。

「五体満足」というがわたしの場合不満足は怪我をした左脚だけで、それ以外は至って健康である。怪我をした脚につきあって仲良く安静にしているとどんどん体力が衰えてしまう。これじゃあいけねぇというので、リハビリ室のマシンを毎日30分づつ使わせてもらえることになった。
正式名称は知らないが、ここでは「自転車」と呼ばれている。10段階で負荷が変えられるので、自分のやり方に応じたトレーニングができる。この手のマシン、わたしはこれまでジムのたぐいには通ったことがなかったので触るのは生まれて初めてだ。おぉ、なんだかアスリートぽくてかっこいいぞ、と、すっかりお気に入りになってしまった。

30分どころか、実際は15分も真剣にやれば息もあがり、汗びっしょりだ。この汗が気持ちいい。何より病院食を美味しくいただけるし、夜もぐっすり眠れるようになった。
いいことづくめのような自転車トレだが、実は、たったひとつだけ非常にマズイ点がある。決定的な欠点と言ってもいい。それは何かというと、マシンから降りて汗を拭きおわったとたん、無性にビールが飲みたくなるのである。マシン設計上の重大なミスにちがいない。困ったものである。

2009 04 09 [living in tradition] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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