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2009年・夏

某月某日 転倒してから4ヵ月半、ようやくバイクに乗ってみる気になる。事故ったバイクには目立った外傷はないものの、バッテリーはとっくに上がってるし他にも不具合があるかもしれないのでバイク屋さんに点検を依頼。特に問題はないというのでおそるおそる座ってみて、エンジンをかける。うわー、久しぶりだわこの感覚。まだ怪我した方の足に若干の不安があるのでしばらくは安全な場所で馴らし運転だな。まぁとりあえず、ようやくここまで来たなあ。いろいろと感慨深い。
某月某日 《モダン・エイジの芸術史》タイムラインは、公開後もちまちまとアップデートを続けている。前にも書いたが、こういうのは作成している本人だけが面白いのであって、他人が見たら単に非常に見づらい年表、というだけだろう。基本的には本の内容を引き写しているだけなんだけど、コピペではなく手打ちというところがミソ。筆写ほどではないにしろ、自分でタイプすることによってより内容が頭に入る…ような気がしている。その分タイプミスも多々あるだろうけど。ところでこの作業、いつになったら終わるんだろう。
某月某日 そのタイムラインのために、通勤電車の中で本を読む毎日。バイク通勤でないことのメリットというか、本を読む時間が少しでも取れることは嬉しい。現在はロシア・アヴァンギャルドや構成主義関係の本を一気読みしている。これまで点でしかなかった個々のトピックスが、徐々につながって線になっていく過程が面白い。やがて面になり、ついには立体的に立ち上がってゆくんだろうか。
某月某日 それにしてもバレエ・リュスやらロシアの前衛芸術やら、なんでこんなに興味があるんだろ。自分でもよくわからない。もともと辺境とか周辺が好き、というのはある。方角でいえば南ではなく北の方が好みだ。20世紀はじめのロシアなんて、文化的には特に見るところのない「周辺国」と見なされていた。ディアギレフはそんなロシアをひっさげて、当時の芸術の中心地パリに殴り込みをかけ、センセーショナルな成功をおさめた。「周縁」からやってきて「中央」をアッと言わせる——わたしはどうやら、そういう構図が大好きなのだろう。はなしが飛躍するようだが、一方でアイリッシュ・トラッド音楽が大好きであることも、だから自分の中では違和感なくつながっている。ヨーロッパから見ればアイルランドは西の最果てではあるけれど、大西洋をはさんでアメリカにもっとも近い場所である(ま、北方と言うならさらに西にはアイスランドやグリーンランドもありますが)。常若の国ティル・ナ・ノグではないけれど、最果ての地から永遠の地に思いを馳せる、そんな心情にたまらなく惹かれているのかもしれない。まあ、そういう風に理屈をつけるのは所詮は後付けでしかないのであって、どっちにしろあまり意味はないのだけど。
某月某日 会社帰り、いつもの駅で電車を降りたらそこは花火大会の会場だった。しまった今日だったんだ、すっかり忘れてた。道理でいつになく人が多かったはずだ。ドーン、ドーンと景気よく花火が上がっている。せっかくだからちょっとだけ見物していこうか。と言っても、時計を見たらもうすぐ終了っぽいんだけど。

Hanabi

某月某日 わたしは徹底的に文系なんだけど、甥っ子姪っ子どもは残らずばりばりの理系で、加えていわゆる「お笑い」系が大好き、という共通項がある。夏休みなので(といってもそのうち一人はもう社会人だが)うちの大画面テレビで観たいDVDがある、というのでTSUTAYAで借りてきたディスクを持ってやってきた。なんとかという若手漫才コンビのDVDを1枚、それからゴジラ映画を2本。ゴジラは比較的最近のものらしいが、わたしはとんと不案内である。理系なのでつっこみどころが違うというかなんというか。「ありえねー」とか言いつつギャハギャハ笑いながら観ているのだけど、その様子を眺めているだけで面白い。まあ、確かに物理法則も生物学的整合性もあったもんじゃないよなあ。わたしは1954年のゴジラ第一作のヴィデオを持っているが、ゴジラ映画の<リアリティ>の何割かはあの粗いモノクロ画面だからこそ、という気がする。特撮映画って、くっきり綺麗なカラー画面だとかえって不利なんじゃないだろうか。
某月某日 柳沼行『ふたつのスピカ』がフィナーレというので、月刊コミックフラッパー9月号(メディアファクトリー)を買いに走る。コミックス派なので同誌を買うのは初めてなんだけど、記念に。しみじみいい最終回だった。さて、久しぶりに最初から読み直してみようか…といってもコミックス最終巻の発売はまだ先だけど。
某月某日 天気が良い日を選んでバイクの練習…というほどのものではないけれど、徐々にカンを取り戻す。怖さがないと言えばウソになるけれど、普通に走っている分には特に支障はない。問題は、不意の飛び出しだとか、そういう何か突発的な場面に遭遇したときにスムーズに対処できるかどうか、足のふんばりが効くかどうか。今度転んだら本当に人生オワタ\(^o^)/になるので、完全復帰にはイヤでも慎重にならざるを得ない。
某月某日 それにしてもこの夏は暑いんだか涼しいんだかよくわからない。日が照りつけてどうしようもない昼下がり、という日はまだ数えるほどしかないのではなかろうか。ニュースを見ていると台風だの地震だのであちこちで大変なことになっている。怪我人だから余計にそう感じるのだろうか、生きているだけでもありがたいことだと、つくづく思う夏であります。

2009 08 17 [living in tradition] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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