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blast meets disney!

 
Blast_disney2016
●blast the music of Disney
 東京公演 2016年08月23日〜09月06日 東京国際フォーラム ホールC
 大阪公演 2016年09月08日〜09月09日 オリックス劇場
 滋賀公演 2016年09月11日 びわ湖ホール
 愛知公演 2016年09月12日 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール

【写真/プログラム】
デザイン:木田幸穂

 
 ブラスト!はずいぶん久しぶりだなあと思って当ブログの過去記事を調べてみたら、個人的には<4年ぶり7回目>だった。ちなみに、過去の公演の感想は以下の通り。

2004年公演の感想
2006年公演の感想
2007年公演の感想
2012年公演の感想
 衝撃だった初来日の03年公演は、わたしがまだウェブログをはじめる前だったので、感想文がない。09年にも行ったけど、再演ということもあって書いていない。ということで、このブログに感想を残すのは今回で5度目となります。
 
 * * *
 
 いや、正直なはなし、もういいかなあ…とか思っていたのだ。けれど今までの演目とはがらっと異なるらしいぞ、どうやらディズニーと組むらしいぞ、前売りが結構な勢いで売れてるらしいぞ、てな噂を耳にして、そんじゃとりま行ってみようかなと。わたくしディズニーにはまったく思い入れはないんだけれども(なにせTDRすら一度も行ったことないし)、映画には名曲/ヒット曲がたくさんあるので料理のしがいもあるに違いない。ブラスト!がどうアプローチするんだろう、と、そういう興味で足を運ぶことにしたというわけ。
 
 わたしが行ったのは9月11日の滋賀公演で、これは「追加公演」という扱いだった。開場が13時30分というので、13時前ごろに現地に着いてゆっくりコーヒーでも飲んでようかと思ってたら、すでに入口付近に長い行列。あれれ?と思ってたら13時にロビーのみ入場、なんだなんだと慌てたんだけど、どうやらグッズ販売のために予定より早く開場したみたい。まあ、上記写真の通りプログラムは無事買えたんだけれども、ちょっと焦りました。
 ブラスト!のファン、ディズニーのファン、両者による相乗効果なんでしょうかねえ、このヒートアップぶりは。
 
 そのプログラムの最後のページには「2017年全国ツアー決定!」の案内があった。察するに、今年の公演は(世界初演ということもあり)チケットの販売状況次第で来年以降を決めようという、お試し版だったのかもしれない。果たして、びわ湖ホールの会場もぎっしり満席だったから、まずはめでたいことではありましょう。
 
 * * *
 
 さて、これまでの『ブラスト!』に親しんでいた身にとって、今回の公演はどうだったか。
 
 上記の過去記事でも何度か触れているけれども、これまで個人的には『ブラスト!』って見た目のゴージャスさとは裏腹に、相当ストイックなイメージを抱いていたのだ。求道者的というか、ピュアである種<宗教的>とでも言えそうな、そういう敬虔な雰囲気が全体を包んでいたように思う。
 で、そういう先入観からすると、今回のステージは、かなりはっちゃけていたと感じた。
 過去にもたとえば〈クラプキ巡査 Gee Officer Krupke〉(バーンスタイン『ウエスト・サイド・ストーリー』より)で、ステージ狭しとばかりに出演者が思いきりはじける演目はあったけど、今作はその路線を全面に押し出した感じ。
 使用楽器の幅広さ(たとえばフルート奏者がいくつかの演目でメインを張ったりする)、後半冒頭の演目では演奏者の姿もないのにギターの音色が流れる(おそらく録音)、楽器をやたら派手に電飾で飾り立てる…これらに関しては、2006年の《blast II》を観たときにまっさきに感じた違和感と通じるものがある。曲がりなりにも「ブラスト」てネーミングなんだから、あくまでも金管楽器にこだわるべきなんじゃないのか。木管楽器や絃楽器が出てくるのはどうなのよ。とか、電飾ピカピカってのはどうにも品がないよなあ。とか、まあ、そういった感想だ。
 実際、前半のハイライトでもあるガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」(ディズニーとどういう関係があるんだと思ってたんだけど、調べたら2000年版の方の『ファンタジア』に使われていたそうな。わたくし1940年版の方しか記憶に残ってなかったのでびっくりしました)の冒頭なんか、クラリネットなしでよくもあそこまで! というくらい原曲を再現していて、聴き応えがあったのだ。だから<金管楽器しか使えない/使わない>というしばりは、必ずしもハンデではなく、むしろ際だった特長でもあると思うんだけどなあ(だからこそ、構造的には金管楽器に分類される、ディジュリドゥの活躍がひときわ引き立つはずなのだ)。
 
 …とはいえ、そういう“不満”をすべて押し流してくれるのが、演奏されるディズニー映画の名曲の数々なのだ。先にも書いたとおり、わたしは特にディズニーファンというわけではないんだけれども、ここに登場した楽曲はほぼ全て、どこかで聞いて知っていた(なにせ「星に願いを」ではじまり「ミッキーマウス・マーチ」で終わるという王道っぷり)。それどころか、「他にあの曲も聴いてみたかったなあ」というのがふたつみっつあったのだ(たとえば『メリー・ポピンズ』の楽曲なんかすごく似合うと思う)。ジャンルとして、これだけ層の厚いメジャーぶりを発揮できるのは、他に類を見ないんじゃないか。あらためて考えるまでもなく、これは凄いことだ。
 老若男女が楽しめ、盛り上がり、グッズ売場にも喜んで殺到できる。これはやはりディズニーの持つ力だろう。ブラスト!だって規模/歴史こそ違え、同じように「誰もが楽しめる」世界観をずっと構築してきた。そんな両者がタッグを組めば、そりゃ前売り券完売ってのもうなずけるよなあ…と、公演を観てあらためて納得した次第。
 そういやフィギュアスケート・ショウの『ディズニー・オン・アイス』は毎回チケット入手に骨が折れる人気タイトルだけれど、今後はブラスト!×ディズニーも同じような「年に一度の風物詩」的な存在になるのかも知れないなあ。
 
 エンターテインメント・ビジネス的には(フィギュアスケートや吹奏楽という)絶妙にコアなファン層が存在する世界にぐいぐい食い込んでくる、ディズニーのマーケティング戦略力には心底恐れ入らなければならないはず。…ま、わたしは別にそういう業界のヒトではないんで、わりとどうでもいいんですけども。
 

2016 09 11 [face the music] | permalink このエントリーをはてなブックマークに追加

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